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SR-α Pro Excellent (ジャンク)

 STAX SRM-1 MK2 P.P.のおまけのSR-α Pro Excellent (ジャンク)はとりあえず無音状態からは復活した。振動膜 Assyの両側に入っているはずのステンレスの輪っかはステンレス製のシム・リング(0.05 mm厚)を特注して装着。1点ものからセミ・オーダーに応じてくれる岩○製作所さん、有難う。価格もリーズナブル。シム・リングを入れても音に特に変化は感じないが、バイアス電源からの接触はちょっとは良くなったかな。  ネットで2 mm厚のウレタンスポンジ・シートを見つけたので鳥籠の裏蓋に合わせてカットして発音ユニット後部に装着。白いスポンジシートなのでオリジナルの暗灰色のに比べて目立つかなと思ったが、それ程でもなかった。結果としては出て来る音に大きな変化は感じないが、しばらく様子をみよう。  単に発音ユニットのダンパーというだけでなく裏側からの音が反対側のユニットを通して耳に届く、その届き方によって聞こえ方も変わるだろうし、定位にも影響があるのかも。左右のユニットの裏側同士をフレキ管で繋いだらどうなるのだろう?なるほど、フォンテック・リサーチの丹羽氏らが考えていたのはこういうことだったのかも知れない。  SR-Γキメラと比べるとまだ少し音圧が高い(能率が高い)が、大分揃ってきた。振動膜にLicron Crystalを薄めて塗布したときは程度の差こそあれこういう傾向がある。

STAX SRM-1 MK2 P.P.

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  STAX SRM-1 MK2 P.P.を手に入れた。発売が1989年であるから30年位前のものと推定される。MK2という呼称から想起されるようにSRM-1というのがあった。両者の筐体の見かけはそっくりであるが、中身(回路)は別物である。インターネット上にシミュレーション結果を発表されておられる方がおられるのでその回路を見ると;  1979年発売のSRM-1は、初段がN ch JFETの差動で高圧小電力Trの抵抗負荷に高電圧(650 V)を供給して増幅し、それより少し大きめのTrのエミッタフォロワで出力し、コンデンサで直流をカットしている。初段の電源は±24 Vで高性能の安定化電源らしい。つまり回路自身は差動2段+フォロワで、真空管回路をTrに置き換えたようなシンプルなACアンプ構成である。  一方、1981年発売のSRM-1 MK2はDCアンプ構成にして、半導体アンプとして性能を追求するために凝った回路となっている。+350 Vと-370 Vの電源を用い、初段はP ch JFET+PNP Trの2段重ねカスコードの差動で定電流負荷で直流電位をマイナス側に振り、終段はNPNのTrのカスコードの抵抗負荷で出力端子電圧をほぼ0 Vにして、完全なDCアンプになっている。出力段にはエミッタ―フォロワは使われていない。おそらく裸利得も大きく、NFBも特性に貢献しているのだろう。  どちらがいいかは好き好きだろうが、SRM-1の方はカットレスコア・トランスをおごり、初段の電源を低インピーダンス安定化電源とし、衒いもなくACアンプとしているあたり、音楽鑑賞用のアンプに必要にして十分なものを知悉して設計されているという印象を受ける。高い周波数になるほどインピーダンスが低下して出力電流を要求する容量性負荷に対してエミッタフォロワという選択も悪くない。  STAXのヘッドホン(イヤースピーカー)は、SRM-1の発売当時はまだノーマルバイアス(230 V)の時代だったため、6ピンの出力ソケットが2個設けられていた。  1981年発売のSRM-1 MK2も当初は6ピンの出力ソケットが2個設けられていたらしい。1982年には6ピンと5ピンの出力ソケットがそれぞれ1個ずつ備えたProfessionalというが発売されたらしい。これは1982年に発売(当初は限定発売)されたSR-Λ Profe

STAX SRM-1 MK2 P.P. その2

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 SRM-1 MK2 P.P.に手を出した理由はヘッドホンがオマケでついていたからである。不鮮明な写真だが、イヤーパッドの形状からSR-α Pro Excellentに見えた。汚れていて写真ではロゴも読めなかったし、端子が金メッキかどうかも分からななかった。入手してみたら、本物のSR-α Pro Excellentのようだ。そのオマケのヘッドホンをSRM-1 MK2 P.P.に繋いでみたが、音が出ない。ボリュームを最大にすると右だけはかすかに蚊の羽音のように聴こえる。コードは断線していないことを確認したが、やっぱりオマケはオマケでしかなかった。  SRM-1 MK2 P.P.に他のヘッドホンを繋ぐとちゃんと鳴る。つまりこのアラサーのアンプはご存命である。自作の静電型(コンデンサ型)ヘッドホン専用アンプMK-18と同様にSTAXのヘッドホンをしっかり鳴らしてくれる。つまり、結論としてはオマケのSR-α Pro Excellentは修理すればいい。  そこで、まずSR-α Pro Excellentを分解してみる。これもSRM-1 MK2同様に納屋か何かに放置されていたのであろう。汚れている。とても汚れている。ケーブルのゴールドの線も消えかかっている。薄めた洗剤を含ませた布で拭いたが布が抹茶色になったので、おそらく以前は喫煙環境に置かれていたのだろう。発音ユニットの裏側に入っていた筈のウレタンスポンジは僅かな痕跡を残して砕け散り消えている。一度手が入っているのかも知れない。開けてはみたものの直せなかったのではないか?故障の原因は振動膜のコーティングの劣化かバイアス端子の接触不良ではないだろうか?  発音体を鳥かご構造(虫かご?ケージコンストラクション)から取り外すと発音ユニットを保護している薄い膜が破れてしまった。慌てない、慌てない、これもお約束のようなもの。保護膜の外側はざらざらするぐらい汚れていた。発音ユニットの周囲の4個のイモネジを緩めて発音ユニットを分解する。振動膜が固定電極に固着しているようなこともなく、振動膜Assyをあっけなく取り出すことができた。電極に繋がる端子の半田は酸化しかけている。電極への細い配線が切れてしまったので半田付けで補修する。  以前分解したSR-Γキメラでは振動膜Assyの両側に0.05 mm厚程度のドーナツ状のステンレスの薄板が入って

STAX SR-Γ キメラ2

STAX SR-Γ キメラ2はSR-X MK3改に比べて音圧が高い。つまり能率が良い。これなら出力電圧は欲張らないでもいいかも知れない。 ヘッドホンの発音体の裏に小さなアンプを仕込んで、RCAプラグの付いたコードをプリアウトに繋ぎ、アンプの電源とバイアス電圧だけ別体の電源部から供給してもいけるんじゃないかなと妄想中?長いケーブルが無ければアンプの負荷容量も発音体本体の数十pFで済むので、設計がとても楽な筈。デプレッションタイプのMOSFET LND150とか使えないかな?許容損失が0.74 Wじゃあ無理かな?

STAX SR-Γ キメラ

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ちょっと変なものをポチってしまった。 STAX SR-Γというふれこみだが、写真を見るとプラグが金メッキの5ピンでSR-Γ Proかも知れないと思い、普段なら金額的にスルーなのだが無理をして入手した。お財布的にはピンチでしばらく無駄遣いが出来ない。 開けてみるとファストン端子を使わずに直にはんだ付けしてある。SR-X Mk3迄はあり得ない。これはケーブルだけ換装した可能性が高い?でも同時期の長円形発音ユニットのSR-Λ Nova Signatureははんだ付けなんだよなあ。 識者によるとSR-ΓもSR-α Pro Excellentもハンダ接続だそうだ。個人的にはファストンの方が整備性が良いと思うが。また、SR-α Pro Excellentはケーブル左右識別の印刷線が金色印字でPCOCCだそうだ。入手したもののケーブルがこれなのである。 背面のスポンジがボロボロで、取り敢えず適当なものを鋏で切って入れておいた。多分ウレタンスポンジで加水分解したのであろう。SR-X Mk3には10メッシュ位の糸の網に細かな棉状繊維が接着されたものが入っていた。バイアスは230 Vでも580 V(自己責任)でも普通に鳴る。ノーマルバイアス機に高圧掛けるとヒーター・カソード絶縁の劣化した真空管みたいにチュルチュル音が出たことがあるが、これは出ない。もっともこのチュルチュル音は能率が良くなってアンプの真空管雑音がよく聴こえるようになった所為かもしれないが。 素のΓにProのケーブルを付けた可能性も否定できないが印刷線が金色印字なのでSR-α Pro Excellentのケーブルの可能性が高い。発音ユニットに明確な区別点があればいいんだが。これは固定極間のギャップを測るしかない。外見や固定極間距離が同じで仮に振動膜の張力やコーティングが違っても区別できない。1.5 µと2 µは私には見分けられない。SR-ΓもSR-Γ Proは大体どっちも公表された能率が103 dB/100 Vっておかしくないか?昔のSTAXの公表された仕様って時々怪しい気がする。SR-ΓはSR-X Mk3(97 dB/100 V)とほぼ同等でおかしくない筈。 左のユニットが少し音圧が低いこともあり、バラすことに。振動膜へのバイアス回路の接触の問題だけならいいんだが。 バラして両側のリングを含む振動膜ユニットの厚みをノギス

静電型(コンデンサ型)ヘッドホン専用アンプ 36

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 現在、すべてジャンクと言っていいのだが、SR-5、SR-X MK3、SR-Lambda Nova Signature が手元にある。SR-5とSR-X MK3は発音ユニットのバイアス回路に直列に100 MΩを入れたり、繊維質のダンパー?を取り除いてスポンジを入れたり、イヤーパッドを社外品に換えたりしているので、魔改造品とも言えるが、本人はそれぞれに個性があり、気に入っている。もちろん、初期の性能が保たれているなどとは思っていない。  ときどき取り換えて比較しながら聞いているのだが、並列につなぐと静電容量が倍ほどになり、超高音域でアンプの負担が倍になる。かといってプラグを抜いたり刺したりしていると高抵抗経由のバイアス電源で振動膜に電荷をあたえているため寝起きの悪いこれらのヘッドホンの比較はし難い。そこで、バイアス回路は常に接続しておいて、音声信号だけスイッチで切り替えるスイッチボックスを考えた。  スイッチはこれまた軸を誰かが短くカットした東京光音電波の4回路5接点のロータリースイッチ(回転切替器と書いてある)。R4-5(昭和35年製造)とある。オークションで見かけるRR44型と同様に約45 mm角のごついスイッチで接点は端子間抵抗5 mΩ以下と誇らしげに書いてある。生産終了品も含めて生産状況を公表している東京光音電波のWebサイトにも無い骨董品。NHKででも使われていたのであろうか?見た目の信頼性は十分だが、結構切り替えに指の力が要る。大きめのつまみ(サトウパーツ K-2901-S)を付けたのだが、すぐ横にヘッドホン用のソケットがあり、操作性はイマイチ。矢じり型のK-66やK-5010あたりの方が良かったかも。  この無骨なロータリースイッチは取り付け用の3本の皿ビスがなんと旧JIS螺子のプラス。外したビスを作業台の上に置いておいたはずが、いっとき行方不明になって探すのが大変だった。同じ昭和35年製造でもRR44型はマイナスのISOだったと思うんだが、違ったかな。ひょっとしたらマイナスの旧JIS螺子だったか?そもそも旧JIS螺子からISO螺子への変更っていつごろだったかな?私が小学生?昭和40年頃?小学生のころプラスのISOねじの頭にあるくぼみについて工大に行ってた叔父に聞いた記憶がある。  アンプ部とスイッチボックスの接続にはMT9のソケットとプラグ(これも古い

STAX SR-5 ケーブル

 最近は主にSR-X Mk3(ジャンク)改を使っている。透明度が高く細かいところまでよく聞き取れる。いわゆる解像度高い系だ。歪み感は少ないが低音はやや軽い。イヤーパッドを少し厚いものに換装しているがそれでも耳介への圧迫感は多少ある。一方、SR-Λ Nova Signatureはあまり使っていない。バランスはいいし耳介への圧迫感もないのだが、振動膜が大きいせいだろうか?何となく遠くで鳴ってる感がある。イージーリスニング向きかも知れない。目的に応じて使い分けるのが良さそうだ。  SR-5(ジャンク)改を久し振りに聴いた。少し雑味?があるような、でも室内楽やオーケストラのホールの響きが良い。その雑味は僅かな歪み感というか濁りなのかも知れない。SR-X Mk3の発音体をSR-5の筐体に入れると面白いかも知れない。  しかし、SR-5の静電容量(ケーブル込み)を簡易型Cメーターで測ると400 pF以上ある。これはおかしい。120 pF前後の筈だ。使用したCメーターの仕組みから推測するに、静電容量そのものが増大したのではなく、おそらくケーブルの被覆の絶縁が劣化してリークしているものと想像。ケーブルの両端(プラグ側と発音体側)を残して切り落とし、手元にあったシリコン被覆線2本とビニル被覆線1本を三つ編みにしたものを挿入した。シリコン被覆線が音声信号用、ビニル被覆線はバイアス用である。ついでにSR-Λを真似て発音体側バイアス回路に100 MΩを入れた。  三つ編みの線間容量は80 pF前後で、発音体とケーブル込みのトータルの静電容量は110 pF程度とオリジナルの仕様とほぼ同等。  アンプ側の設計で、高域でインピーダンスが下がりしっかり電流が流せないといけないというのは殆どワイヤーの静電容量のせいだ。ケーブルを排し高電圧少電流出力のデジタルアンプをヘッドホン本体に組み込めば良いのではと思う。ただし、高電圧の電源部を別に作り、そこからアンプ部に給電する必要がある。  STAXのケーブルは昔は布巻きの6芯だったが、プロバイアス化と前後して6芯の平行コードに変わった。いずれも途中まで6芯で、発音体の近くで左右3本ずつに分かれる。構造上平行コードの方が線間の静電容量は低そうだ。  何故かなりの部分が6芯で左右分かれていないのか?静電容量を介してクロストークが起こるとしてもオーディオ的には問