BMW R27 (5)

 R27にはハンドルのバーエンドに6 V 18 Wの枕型ランプ(festoon light bulb)のウインカーが付いている。車体の前からも後ろからも点滅が見えるタイプだ。18 Wの消費は方向指示を出す時だけとは言うものの、ジェネレータの発電容量が60 Wしかないので負担が大きい。ヘッドライトを点けていてブレーキを踏んでウインカーを点けたらヘッドライトが暗くなりそうだ。ここは電球を消費電力の少ないLEDに交換したいところ。

 また、現代だと車体後部にも無いと方向指示の視認性が問題になるかも知れないので、後部に小型のウインカーを増設したい。入手したのはホンダ・モンキー用のもの。6 V 3 Wの白熱電球が付いていたがネットで見つけたLED球に交換してバッテリー直結で点灯してみると結構明るい(左がLED、右が白熱電球)。橙色のプラスチックのレンズを通してダイオードの発光部がはっきり見えるのが気になる人もいるかも知れないが、LEDらしいと言えばその通りだ。直射日光下においても視認性は高い。ちょっと黄色みが強いが…















 

 固定は車体に直接ではなく、ラゲッジ・キャリアのM8ボルトの向きを外向きにしてそこにM8-M6の変換ジョイントを介して取り付けたが、それほど違和感は無さそうだ。さて、問題は配線の取り回し。テールランプやストップランプの配線はリア・フェンダーの裏にトンネルが作ってあってそれを通っているが、そのトンネルにさらにワイヤーを2本通すのは難しそうだ。トンネルの横に沿わせてテープで固定するのが現実的か?それとも、フレームに添わせてタイロっクで固定するか?











 フロント側のバーエンドのウインカーの電球だけでなくインディケータやテールランプやストップランプもLED化すれば、6 V電装のままでも結構余裕が出ると思う。12 V化は確かに魅力的ではあるが、VAPEのPowerdynamoのキットは点火システムがバッテリー点火からマグネトー点火へという根本的な変更を伴うので、高価でもありちょっと躊躇する。これ以外にはビーマー輸入屋のカタログにはR60/6-100RS用のジェネレータを使うALT-R27というキットが載っているがこれも高価だ。また、12 V化によって限られたエンジン出力を僅かとはいえ今まで以上に発電に取られるというのも気分的には嬉しくない。

 欲を言えばヘッドライトもLED化したいところだが、BA20Dソケットに取付けできる実用的な明るさの6 VのLEDランプがなかなか見つからない。

 さらに、点火系に関してはポイントを使わない半導体のシステム(所謂フルトラ)に替えるというオプションもあるり、これも魅力的である。しかし、ポイントを用いる点火システムは機械式の進角装置を含めて長い歴史をもつ完成されたシステムであり、ポイントを磨きながら乗るのも悪くない。

 数か所曲がり癖がついて被覆も剥がれているスピードメーターケーブルは新品に交換した。古いケーブルを外す作業はM8ボルトを緩めてギヤボックスから抜くだけなのだが、ケーブルを固定しているブッシュが一緒に抜けてくる。これがケーブルから外し難くなっていた。ヘッドライトの配線だけDC-DCコンバーターで12 V化しているツワモノもいるが、最後の手段だ。

 後ろのウインカーのケーブルの取り回しはどうしたらいいのか、配線ハーネスやスロットルワイヤの取り回しと同様にタンクの取り付けで無理な力がかからないように検討が必要だ。

 エンジンオイルを替えよう。華氏32度(0℃)以下だとSAE 10W-30、32度〜86度(0〜30℃)ならSAE 30、86度以上あるいは飛ばすならSAE 40というのがマニュアルの推奨値だ。今となってはシングルグレードの30とか40はマルチグレードに比べて入手が難しい。いろんな情報を総合すると一年中20W-50で良いようだ。マニュアルによると1.25 L。一方、変速機のオイルは同じ20W-50を0.65 Lで良いようだ。つまりエンジンオイルと変速機のオイルは20W-50を2 L購入すれば良い。

 最終減速のベベルギアにはSAE90だが、こちらはマニュアルにハイポイドオイルと書かれているので、いわゆるギヤオイルのSAE90だ。エンジンオイルとは同じSAEでも粘度の規定が異なる。0.14 L。

 全体に年月を経た感じは悪くないので再塗装を全面的にしようとは思わないが、フロントフェンダーは塗装のひび割れが目立つ。また、過去にアクセサリーでも取り付けたのか3箇所にリベットが打ってあり、これがちょっと嫌なのだ。このリベットは外して穴をパテで埋めてしまいたい。フロントフェンダーは一度塗装を剥いで塗りなおしても良いと思っている。R27だけでなく当時のアールズフォークのBMWの前後のフェンダーとタンクはオリジナルでは手書きの子持ちのラインが定番だ。黒や赤など濃いい色には白のライン、白には黒のラインといった具合にアクセントになっている。うちのは元々は黒に白のラインだったんだと思うが、白のラインは消えて、あるいは消されている。ラインが無いのも悪くないと思っている。

 この個体、メーターはマイル表示で、トリップメーターも付いている。おそらくは米国向け?どこを経由して日本に辿り着いたのだろう?実はリアフェンダーに日本旧車會というステッカーが貼ってあった。改造車で爆音を響かせる旧車會かと思ったが、どうも違うみたいだ。4月29日の昭和の日に奈良の葛城市で開催される日本旧車會というのがあるらしい。このステッカーは誤解を生みそうだからそのうち剥がそう。Japan Sidecar Communityのステッカーも貼られている。サイドカーは興味があるけど所属しているわけではないから、これも剥がそうか?うちには香川県の業者から送られてきたのだが、その前は近畿地方なのだろう。

 R27やR26には程度の良い個体が少ないそうだ。250 ccということで車検整備を受ける必要が無いからかもしれない。タイやインドネシアなど東南アジア経由で入ってくる個体もあるらしい。現在ではインターネットの広がりもあって、世界中どこでも部品調達はそこそこ出来るが、それ以前は原産のドイツから遠く離れると部品の調達も難しく、代替品を使った修理なども普通だったのだろう。もっとも60年前のオートバイの部品がリプロを含めて今でも結構揃うことの方が驚きである。


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