STAX SRM-1 (2)

初段用定電圧電源の電源トランス直後のフューズ(0.1 A)が1本飛んだ原因について考える。下図はSRM-1のリーフレットに記載の図である。


図のトランスの二次巻線の上側が高圧、下側が低圧(初段用)である。どちらもセンタータップが付いている。高圧部の平滑キャパシタの容量を47 µFから100 µFに上げたことによって充電の度に流れる電流のピークは高くなった筈。スイッチ・オン時には突入電流が流れやすいが、波形のどの部分でオンになるかで突入電流は変化する。たまたま大きな突入電流が流れたタイミングで、二次側の電流も大きくなって、ヒューズが切れたのかも知れない。

大体、二次側にヒューズ(0.1 A)が入れられている理由がよく分からないのだが?大きな電流を流したくない理由はカットレス・コアのトランスではないだろうか?この手のコアだと突入電流は大きいし、ダイオードを通して平滑キャパシタを充電するパルス的な電流のピークも高くなる。初段の電源は電流も少ないのでトランスの巻線も細く、ちょっとした過電流でトランスが断線することを懸念してのヒューズかも知れない。

ダイオードがオフになった瞬間、電源トランス二次側の漏洩インダクタンスによるキックバックで高圧が発生する。スナバでもいいが、SRM-1の場合に二次側にキャパシタが入っているのはこの共振をダンプしてダイオード由来の雑音ノイズの低減を狙ったのだろう。

高圧部の平滑キャパシタの容量を47 µFから100 µFに上げたことで低圧部の電流も影響を受けて?不安定になった可能性もある。

高圧部のダイオードにもキャパシタがパラに入っているのは、同様にダイオード由来の雑音ノイズの低減を考えているのだろう。逆回復時間(trr)の短いものに交換するのも悪くないだろう。このキャパシタ、ダイオードに掛かる逆電圧と同じ鯛圧が必要の筈?

高圧部の平滑キャパシタは100 µFに上げてしまって今更戻したくもないので、ピーク電流を抑えるために高圧部のトランスの二次側に抵抗(あるいは)を入れるのが良いかも知れない。10~20 Ω程度なら出力電圧もほとんど変わらないだろう。基板にはあまり余裕が無いが抵抗の足を伸ばして基板から少し浮かせて取り付ければいいだろう。どれくらい発熱するかは予測できないが。結局基板の銅箔切ったり穴を開けたく無いので、短くしたラグ板にL字金具を介して両面テープで基板に立て抵抗を取り付けた。

高圧部の中点とアースの間を120 kΩと270 kΩで分圧し、そこから4.1 MΩと0.1 µFのフィルタを経てヘッドホンのソケットの高圧バイアス端子(ノーマルバイアス用)につないである。真似をして高圧側とアースを220 kΩと2 MΩ(1 MΩを2本シリーズ)で分圧し、6.2 MΩと0.11 µF(0.22 μFを2本シリーズ)のフィルタを通してプロバイアス電源とした。抵抗やキャパシタをシリーズ接続したのは高い電圧と素子の耐圧を考えてSRM-1オリジナルにみられる手法を真似したものである。


今まで読み取った回路図を下に示す。読み取りミスの可能性は当然あるので、これを信じてあなたのSRM-1を駄目にしても責任は取れません。悪しからず。ミスは見つけたら逐次修正します。


なお、→で示したものは私が改変した部分。



コメント

このブログの人気の投稿

静電型(コンデンサ型)ヘッドホン専用アンプ 35

Stax SR-5 with SRD6