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静電型(コンデンサ型)ヘッドホン専用アンプ 25

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 カソードフォロワ 段のバイアス回路の電解キャパシタを取り去って暫く聞いてみた。特に雑音は聴こえないが、何と無くイガラっぽいというか、滑らかさに欠けるというか、長く聴いていると少々きつい。取り去ったことは果断に過ぎた感がある。   しかし、キャパシタがあるとプラス・マイナス電源がオンになってから暫くの間出力端子に高い電圧が出る。グリッドリーク抵抗のバイアス電源側とマイナス電源の間にキャパシタ(100 μF 160 V)を元通りに戻した場合でも出力端子の電圧を防ぐ手立ては無いかなあと考える。もうひとつキャパシタ(22 μF 450 V位)を反対側(アース側)にも繋げば、電源がオンになるとまずキャパシタの容量に反比例して電圧が分圧される方向に振れる。そうすれば出力端子に高い電圧が現れる傾向も軽減されると考えて試して回路変更。ついでにバイアス回路のブリーダ電流(現在約1 mA) もツェナーダイオードの安定性を考えると少なくとも2倍程度になるように抵抗を並にに。   電解キャパシタは 秋葉原まで行かなくても近くのホームセンターで売っているのでそれを調達。リード線が磁石にくっつくような代物だが、私の耳では特段問題なし。   やることを決めてサクッと半田したのだが、ヒーター電源が起動しない。どうも過電流を検知して LM388の 保護回路が作動しているようだ。テスターを当てると確かにどこかでショートしているようだ。奥まったところにあるヒーター回路のワイヤーを外しながら探ったが分からない。幸いLM338そのものは無事だ。1日半掛けてようやく初段12AU6のひとつのヒーターのピンの配線の芯線の処理が悪くてセンター・ピンに僅かに触れているのを発見。線材のせいか、ソケットのせいか、真空管のせいかと、等々原因を探ってあっちこっち半田を外してはテスターで導通をチェックし、再度付け直したりしたのでとても半田も醜い状態になってしまった。結局、今回のトラブルも半田付けが下手な私のせいだった。それに老眼が追い打ちをかけている。 それにしてもLM388の保護回路はきちんと動作してくれた。そうでなかったらまたヒーター回路を作り直すことに。  さて、カソードフォロワ段のバイアス回路の電解キャパシタを取り去って暫く聞いてみた。特に雑音は聴こえないが、何と無くイガラっぽいというか、滑らかさに欠けるというか、長

静電型(コンデンサ型)ヘッドホン専用アンプ 24

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  ヒーター電源はLM338を使った秋月のシリーズレギュレータ・キット(出力電圧可変型)を説明書通りに2台組んで、それでさっさと済ますつもりだった。が、少し改変した。まず、出力電圧の可変は不要だから12.6 Vに固定した。LM317やLM338やLM350では出力電圧はほぼ2本の抵抗の比で決まる。厳密には調整(ADJ)ピンを流れる電流による電圧が加わるが誤差の範囲だ。経験上220 Ωと2 kΩでほぼ12.6 Vが得られる。さらに真空管のヒーターって冷えてると抵抗値が低く、スイッチオンと同時にラッシュカレントが流れるので、TI社のデータシートを参考に(ほぼコピー)してLM338にPNPトランジスタ(2SA1015)を足してソフトスタート(slow turn-on)に。これで数秒でじわりと12.6 Vになる。キットの基板は2か所ほど銅箔を切って、後は既存の配線や穴を利用した。  さらにその出力電圧を利用して、シュミット・トリガを使ったディレータイマーを動かし半導体リレー(フォトトライアック+電力用トライアック)を介してプラス・マイナス電源(+315 Vと-415 V)用の電源トランスへのACをオンするようにした。1から設計・検討せずにWEB上に公開されているのをパクったためシュミット・トリガの設定はイマイチ分かってない。。。ブレッドボードでちゃんと試行錯誤すればよいものをズボラしてユニバーサル基板に組んでからの試行錯誤でドーナツ状の銅箔はあちらこちら剥がれ余計時間が掛かった。ジャンク箱の中にタイマーICの555が1個も見つからず、こんなことに。半導体リレーも秋月のキットである。接点のある電磁式のリレーよりも経年変化に強そうなので試しに採用してみた。  フォトトライアックの性質を考えるとトランジスタで組んだシュミット・トリガは必要なかったかも知れない。キャパシタの充電を利用してトランジスタの電流がだんだん上がるような単純な回路にフォトトライアックを繋げば、一定の電圧迄上がった時点でフォトトライアックがオンになって、それでチャタリングもなく電力用トライアックがオンになる、それで十分だったかも。  LM338はキットのヒートシンクに付けてある。電圧差3 Vで1.2 Aなので3.6 Wの消費。これでも熱的に駄目ならパワートランジスタで電流ブーストしよう。ヒーター電源の出力端に逆

静電型(コンデンサ型)ヘッドホン専用アンプ 23

アンプを点けっぱなしにしてふと見たら終段の上側の球のカソードが光っていない。勿論音も出ない。 これは電源だ。あり合わせの部品で組み上げた電源で、球数の少ないアンプ用に組んで使いまわししている。したがって、今回球数が増えたことによって増加したヒーター電源の容量は前から心配の種だった。ちっちゃなヒートシンクを挟んでシャーシに直付かしていたのだが、3端子レギュレータに1.2 Aは無理だったようだ。この部分の3端子が死ぬのは実は2回目。 同じ回路ではもたないので3端子は諦めて、12 Vを整流して5 mH 4 Aのカットコア・チョークと1000 µFで安直なリプル・フィルタ。キャパシタがもう少し大きいといいのだが。それにしてもこのチョーク、いつ入手したんだっけ? ヒーター電源は2つともリニューアルした方が良さそうだ。より大容量のシリーズ・レギュレータにするか、スイッチングのDC-DCコンバータにするか。前者は効率が低く発熱が大きく、一方、後者は高効率だが高い周波数でのノイズをコントロールしないといけない。 前者なら大きなヒートシンクが必要になるので省エネ社会には逆行するが、回路的には慣れている。LM338や350はうちのジャンク箱には入っていなかったように思う。さてどううしよう?PNPパワートランジスタで電流ブーストという手もあるな。ついでに、ヒーター回路が立ち上がってからプラスマイナスの電源が立ち上がるようにディレータイマーも付けたい。現状ごくわずかの時間だが、起動時にヒーター-カソード耐圧を超える電圧がかかっているので。部品調達をしたくても残念ながら帰宅途中に秋葉原に寄るような余裕がない。 さて、今更なのだが、カソードフォロワのバイアス回路にツェナーダイオードを使った固定バイアスする必要は無かったかも知れないことに気が付いた。マイナス電源が終段の動作の基準なのだから、カソードフォロワ段のバイアスもマイナス電源を規準にすれば良かったのだ。 カソードフォロワを自己バイアス型にすれば定電流に近い回路となる。Rkが4 kΩ弱とすると12AX7Aのμがおよそ100なので400 kΩ弱の真空管抵抗と考えらえるので、マイナス電源の絶対値が多少変わってもカソードフォロワのカソード電位はマイナス電源から見ると殆ど一定となる。自己バイアスだと固定バイアスよりも入力インピーダンスが高くできるの

静電型(コンデンサ型)ヘッドホン専用アンプ 22

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 初段プレートからカソードフォロワへの配線は、余裕の無いシャーシとでかいフィルムキャパシタのせいでラグ端子を用意してそれにフィルムキャパシタを固定しているため無駄に配線が長く、静電容量を介して結合すると寄生振動など不安定な動作を齎しかねない。何しろアンプの利得が60 dBもあるのだから。入力部に用いた2芯シールド線の残りを使ってみた。初段プレート~結合キャパシタ~カソードフォロワのグリッド迄で併せて20 cm位である。 2芯シールド線だから両方のグリッド回路同士、並びにグリッド回路とシールド部分の双方に数〜数十pF代の容量が入ることになる。インピーダンスは片側辺り70 kΩ弱(プレート抵抗100 kΩ//グリッド抵抗220 kΩ )なので高域のカットオフがそれなりに下がれば、それはそれでオーディオ用増幅器としては寧ろ妥当な特性になるのではなかろうか。 狭い筐体にさらに曲げにくいシールド線が入って窮屈ではある。シールド部分が他の配線とタッチしない様に配線してからビニールテープを巻く。本当は配線前にチューブをかませるとかした方がよかったな。 通電したところ特段の問題ない。10 kHz矩形波は特に位相補正せずにまあまあ素直な形に(左はL ch、右はR ch)。フォーカスが甘いのは失敗。以前見えていた小さなオーバーシュートは消えた。恐らく、シールド線へ換えた効果と思われる。   高域のカットオフ周波数は思った程下がらず、サイン波を入れてスイープしてオシロで観ている限りでは150 kHz辺りらしい。 音質?至って普通?矩形波にオーバーシュートが出ていた頃の方が魅力的だった気もするのだが… 個人的感想で恐縮だが、うちのジャンクSTAX三兄弟のSR-5改、SR-X MkIII、SR-Λ novaでは最も年嵩のSR-5改が相性が良いようだ。 2023.02.06誤字修正

静電型(コンデンサ型)ヘッドホン専用アンプ 21

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 SRPPの下側の球のバイアスは、マイナス電源側を基準に電源の変動に対して1/μ程度で追従するように変えた。音声信号を入力しながらテストするとうまく機能しているようだ。マイナス電源側に高電圧のツェナーダイオードを直列(33 V+33 V+5.1 V)で入れて、そこからアース(0 V)との間を大体1:µ-1で分圧してカソードフォロワ段のバイアスとした。 高電圧のツェナーダイオード温度特性は一般に良くなく(比較的大きな正の温度係数)、その点が多少心配なのだが、比較的高温になる真空管アンプのシャーシ内で十分に温度が上がってから調整すればその後は安定するのではないかと期待している。季節によってずれるかもしれないが… どうしてもだめなら、5.1 Vのツェナーダイオードを外して、負の特性を持つシリコンダイオードを10個位シリーズに入れてみる予定。 新しい回路を組み込んで試してみると、音声信号を入力しない状態だと電源スイッチを入れても電圧配分がおかしく、出力端子がマイナスに振り切れた状態になる。こういうのも「ラッチアップ」といってもいいのかな?これでは上の球のカソード・ヒーター間の絶縁が危ない。音声信号を入力すると電流が流れだし、正常になる。起動すると安定して電圧配分も調整出来て、出力端子の揺れも小さい。 「ラッチアップ」現象は上側の球のバイアス回路のTL431Cの過電圧保護のためにいれたツェナーダイオード(A01-33)のせいらしく、スイッチを入れても定電流回路が機能していない。定電流でないと下側の球のカソードには低い電圧しか現れないが、グリッドはほぼ固定バイアスでカソード電位より高くなってしまう。ちょっと姑息な手段だが上側の球のグリッド、即ち下側の球のプレートから1 MΩを介して接地してみた。この対症療法で電源スイッチオン後の「ラッチアップ」問題は取り敢えず解消。細かく言えば、上下の球の電流値が異なるとかいちゃもんは付けられるが、元々上下の球のプレート-カソード間電圧も異なるのでこの際細かいことは考えない。 実はこの「ラッチアップ」問題は今までもときどき生じていた。どっか壊れたかと他を当たっていたため真相を把握していなかったのだが、下側の球のグリッドに正のバイアスがかかってダイオード状態になっていた。入力を入れると解消するのだが、なにが起こっているのかよく理解していなかった。