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STAX SRM-1 (3)

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 SRM-1の初段増幅部には立派な定電圧回路が入っているが,次段増幅部と最終出力段のエミッタフォロワの電源は整流したままである.事実上問題が無いのであろうが気になるのでMOSFETのリプルフィルタを挿入した.  ぺるけさん以来多くの人が使っているような回路である.2SK3566はおんにょさんのBLOGで「VDSSは900Vもあり...リプルフィルタ用途として2SK3067の代替になりそう」と紹介されていたので使ってみた.  この回路だと10 V程電圧が下がるので最大出力はその分減じるが大きな問題ではない.定電圧回路にしなかったのは商用電源の電圧変動に応じて電圧の変化が大きく,それを考えると出力電圧を低く設定せねばならず,そうするとMOSFETで消費される電力が大きくなるので現実的でない.リプルフィルタなら常に10 V程度の損失で済み,MOSFETの消費する電力も小さく,ヒートシンクも不要だ.通常の真空管アンプより電圧が高いので,電解キャパシタを二段重ねにせねばならず,並列に抵抗を入れて,掛かる電圧を揃えた.フィルム・キャパシタの方は1個でも630 V耐圧のものをシリーズに繋いだので特に抵抗は入れていない.FETのドレインに入れたキャパシタは2 kV耐圧のセラミックである.  リプルフィルタがあろうがなかろうが音は特に変わらないようだ.ということは元の設計が必要にして十分だったということでしょうね.今回の変更は私の自己満足ということで.  出力端に入れている2 Ωと0.4 µFはゲートに入れた発信予防の2.2 kΩの所為で20 kHz以上でインピーダンスが上昇するのを防ぐためのもので,抵抗は高い周波数で下がり過ぎないようにと入れたが,キャパシタは多分2 µF程度が望ましいだろう.手持ちの関係で0,4 µFとなっている.   スイッチオフ時にドレインとゲートの電圧が逆転しないようにドレイン側にダイオードを入れている.22 kΩにパラに入れてもいいだろうが,ゲート側のキャパシタの容量を大きくする場合は今の位置の方が良いだろう.要はドレインとゲートの電圧が逆転しなければいい.

STAX SRM-1 (2)

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初段用定電圧電源の電源トランス直後のフューズ(0.1 A)が1本飛んだ原因について考える。下図はSRM-1のリーフレットに記載の図である。 図のトランスの二次巻線の上側が高圧、下側が低圧( 初段用 )である。どちらもセンタータップが付いている。高圧部の平滑キャパシタの容量を47 µFから100 µFに上げたことによって充電の度に流れる電流のピークは高くなった筈。スイッチ・オン時には突入電流が流れやすいが、波形のどの部分でオンになるかで突入電流は変化する。たまたま大きな突入電流が流れたタイミングで、二次側の電流も大きくなって、ヒューズが切れたのかも知れない。 大体、二次側にヒューズ(0.1 A)が入れられている理由がよく分からないのだが?大きな電流を流したくない理由はカットレス・コアのトランスではないだろうか?この手のコアだと突入電流は大きいし、ダイオードを通して平滑キャパシタを充電するパルス的な電流のピークも高くなる。初段の電源は電流も少ないのでトランスの巻線も細く、ちょっとした過電流でトランスが断線することを懸念してのヒューズかも知れない。 ダイオードがオフになった瞬間、電源トランス二次側の漏洩インダ クタンスによるキックバックで高圧が発生する。スナバでもいいが、SRM-1の場合に二次側にキャパシタが入っているのはこの共振をダンプしてダイオード由来の雑音ノイズの低減を狙ったのだろう。 高圧部の平滑キャパシタの容量を47 µFから100 µFに上げたことで低圧部の電流も影響を受けて?不安定になった可能性もある。 高圧部のダイオードにもキャパシタがパラに入っているのは、同様に ダイオード由来の雑音ノイズの低減を考えているのだろう。 逆回復時間(trr)の短いものに交換するのも悪くないだろう。このキャパシタ、ダイオードに掛かる逆電圧と同じ鯛圧が必要の筈? 高圧部の平滑キャパシタは 100 µFに上げてしまって今更戻したくもないので、ピーク電流を抑えるために高圧部のトランスの二次側に抵抗(あるいは)を入れるのが良いかも知れない。10~20 Ω程度なら出力電圧もほとんど変わらないだろう。基板にはあまり余裕が無いが抵抗の足を伸ばして基板から少し浮かせて取り付ければいいだろう。どれくらい発熱するかは予測できないが。結局基板の銅箔切ったり穴を開けたく無いので、短くしたラグ板にL字...

STAX SRM-1

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 STAX SRM-1を入手。MK2とかProとかPPとか付かない「素のSRM-1」で1979年に発表されている。真空管で言えばロフチン・ホワイトの初段を差動にしてプッシュプルにして最後にカソードフォロワを付けたような回路を半導体に置き換えたようなものだが、シンプルな構成で前から気になっていた機種だ。当然、直結のために電圧が積み上がっていくので最後はキャパシタで切って出力となる。電源トランスにカットレスコアを奢り、初段の電源には定電圧回路が入っている。 3年後に発表されたMK2になると筐体はほとんど同一だが、フォールデッド・カスコードでレベルシフトを行い、出力部のキャパシタを省いてDCアンプになった。回路は複雑になってマニア受けしそうな構成である。一方、トランスは製造し易そうな普通のコアのものになっている。 個人的には以前からシンプルな素のSRM-1が気になっていた。 切られていた電源コードを繋いで、後部から前面のスイッチ迄の配線を念のため2芯シールドに替えておく。シールド線と言っても1芯あたりAWG22で300 V RMS 2.9 A迄流せるものである。まずは高圧電源の電解キャパシタだけ念のため換装。元々付いていたのは47 µF 350Vだったが、商用電源の変動を考えて450 V耐圧にアップグレード。突入電流とか考えても大丈夫だろうと容量も100 µFに上げた。ただカットレスコアのトランスなのでもし突入電流が問題になるようなら抵抗かパワーサーミスターを入れるしかないが多分これ位は大丈夫の筈。チューブラータイプの電解キャパシタの選択肢が少なくなっている。F&Tという会社の製品を初めて使う。ドイツの会社らしいが、実際の製造国はどこだろう? 各部の電圧は多分正常。きれいに揃っているのは直流帰還のおかげかな?とりあえずの音出しも問題なし。用意していたTrは不要に。高圧電源を分圧してプロバイアスを用意するかな?などと考えていたら、あっ、LEDが点いてない! 外して調べてみるとLED単体は生きている。あれっ、初段の電源のヒューズが飛んでた。いじくっているときに過電流か? 0.1 Aのヒューズは近くのホムセンにはない。遠くまで行かねばならない。 ヒューズを新しくしたら問題なく動作している。LEDもちゃんと点いた。 初段の定電圧電源の電解キャパシタも換装。近所のホ...

BMW R27 (5)

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 R27にはハンドルのバーエンドに6 V 18 Wの枕型ランプ(festoon light bulb)のウインカーが付いている。車体の前からも後ろからも点滅が見えるタイプだ。18 Wの消費は方向指示を出す時だけとは言うものの、ジェネレータの発電容量が60 Wしかないので負担が大きい。ヘッドライトを点けていてブレーキを踏んでウインカーを点けたらヘッドライトが暗くなりそうだ。ここは電球を消費電力の少ないLEDに交換したいところ。  また、現代だと車体後部にも無いと方向指示の視認性が問題になるかも知れないので、後部に小型のウインカーを増設したい。入手したのはホンダ・モンキー用のもの。6 V 3 Wの白熱電球が付いていたがネットで見つけたLED球に交換してバッテリー直結で点灯してみると結構明るい(左がLED、右が白熱電球)。橙色のプラスチックのレンズを通してダイオードの発光部がはっきり見えるのが気になる人もいるかも知れないが、LEDらしいと言えばその通りだ。 直射日光下においても視認性は高い 。ちょっと黄色みが強いが…    固定は車体に直接ではなく、ラゲッジ・キャリアのM8ボルトの向きを外向きにしてそこにM8-M6の変換ジョイントを介して取り付けたが、それほど違和感は無さそうだ。さて、問題は配線の取り回し。テールランプやストップランプの配線はリア・フェンダーの裏にトンネルが作ってあってそれを通っているが、そのトンネルにさらにワイヤーを2本通すのは難しそうだ。トンネルの横に沿わせてテープで固定するのが現実的か?それとも、フレームに添わせてタイロっクで固定するか?  フロント側のバーエンドのウインカーの電球だけでなくインディケータやテールランプやストップランプもLED化すれば、6 V電装のままでも結構余裕が出ると思う。12 V化は確かに魅力的ではあるが、VAPEのPowerdynamoのキットは点火システムがバッテリー点火からマグネトー点火へという根本的な変更を伴うので、高価でもありちょっと躊躇する。これ以外にはビーマー輸入屋のカタログにはR60/6-100RS用のジェネレータを使うALT-R27というキットが載っているがこれも高価だ。また、12 V化によって限られたエンジン出力を僅かとはいえ今まで以上に発電に取られるというのも気分的には嬉しくない。  欲を言えばヘッドライト...

BMW R27 (4)

 ハーネス、オルタネータ、イグニッションコイルの配線は正しかったのかどうか今一自信がなかったが、後は試してみるしか無い。おっとスピードメーターを外したままだった。スピードメーターをヘッドライトナセル内部の配線をかき分けるようにして装着。ホムセンで入手した農業機械用のパッキンはちょっとごつい。  エアクリーナは前期型でR26と同じ金網にオイルを塗布するウェットタイプ。パーツクリーナーで洗浄するが殆んど汚れてない。前オーナーがこまめにメンテしてたのか、いや、オイルも付いてないことから見てほとんど乗ってなかったのか。後期型は紙製のエアフィルタに改良されたようだが、それだとフィルタを納める別体のハウジングも必要となる。  数回空キックしてからキャブレターの燃料パイプにスポイトでガソリンを入れ、バッテリーをつないでキーを挿し込むと赤と緑のインディケータランプが点灯する。スイッチの配線は間違ってなかったみたいだ。ちょっと光が弱々しい。キックを繰り返す。しっかり圧縮はある。が、かからない。う〜〜む。古いプラグは火花は飛んでたが黒褐色に汚れてた。少なくとも半世紀以上前に中学の技術・家庭で習ったようなキツネ色ではない。   そこでバッテリーを外して星野の充電器(6 V/12 V切換式)に繋いで短時間充電する。ついでに点火プラグも新品(NGK B8HS)に変えた。  キーを挿すと今度はインディケータランプの点灯が力強い。キックを繰り返すと、エンジンが元気にかかった。ちょっとメカノイズが大きい気がするが、力強い。少なくともエンジンは生きてる。イグニッションコイルの配線もOKということだ。  スロットルをひねると回転が上がり、赤のインディケータランプが消える。つまりちょっと回転を上げればバッテリーを充電しており、これならオルタネータやレギュレータも正常に機能していると言える。  バッテリーはオリジナルの6 V 9 Ahに同等のものに変えよう。秋葉原の秋月電子に完全密閉型(Kung Long Battery製)が安価で出てたので注文。この会社、本社は1990年設立で台湾にあるがベトナムにも2か所に工場を持つ。有難いことに安い。Web上で探すとこれをR26に使っている先達がいるので多分無問題。届いたのはベトナム製。  スピードメーターケーブルは数か所曲がり癖がついて被覆も剥がれているの...

BMW R27 (3)

 ヘッドライト・ナセルの中に手を突っ込んでいるが、イグニッション・スイッチの基板(ターミナルプレート)の端子のビスが欠けていたり、直にはんだ付けされていたり、スイッチとしての接触も怪しい。ターミナルプレートは4つの鉄の爪をまげて固定されている。何回も伸ばしたり曲げたりしたら折れるやつだ。子供の頃(1950年代後半~1960年代前半)の玩具と似ている。今ならもっと違う作り方もあると思うが…  とりあえず曲げてある爪を伸ばして(立てて)見るが、手前のふたつはともかく奥のふたつは作業し難い。先曲げペンチの頑丈なヤツかラジオペンチの頑丈なものが必要だ。爪が折れたときのことを考えて修理用プレートなるものも入手してはあるが、これを使うにはまず固定のためのリベットをドリルして古いプレートを外さないといけないし、組付けるときには新しいリベットを打つか、ネジで止めるかしなければならない。多分塗装も修復が必要になる。大事になるので避けたい。  手が入りにくいし、プレートが下になるようにナセルを置きたいので、スピードメーターケーブルを外し、ウインカーのスイッチとヘッドライトのHi-Lo切換のスイッチをハンドルから外す。おかげで、スピードメーターの外し方も分かったし、インジケータランプの外し方も分かった。  何とか爪をまっすぐに立てて、ターミナルプレートを抜いていたら、一気に外れて、部品がいくつか外れてきた。キーが差し込まれる部分とバネと回転子がターミナルプレートにきちんと接触するようにバネが入っていて、爪による抑えが無くなってバネに押されてバラバラに…  とりあえず古いフレートも新しいプレートも規格は同じなので、コードを移植していく。R26+R27の修理マニュアルに結線図が載っているのだが、素人向けなのか整備士向けなのか、との端子とどの端子をむすぶかという配線図ではなく、何本かのコード(ケーブル)を束ねたハーネスの場合も一本の線で表してあるので分かり難い。R50~R69Sのものとも微妙に異なる。  多分これでいいだろう、とプレートを組付けようとするが、バネの反発力で上手くいかない。バネを押し縮めた状態で銅線で固定して組付けて、そのあとで銅線を外したが、一人でやる作業ではないな。  だがしかし。なぜか電気が通らないのだ。ショートかと思ってヒューズを見たが切れていない。なぜ? スイッチを組み...

BMW R27 (2)

新規購入した/5タイプのMAGURAのスロットルユニット(32 72 1232981)のベースだけ使って、スロットルケーブルの蓋はR27のを使おうと思ったら、長さが違った。新しいユニットはケーブルの取出し口ふたつでそのひとつだけしか使わないので、ちょっと間が抜けている。スロットルカムギア+チェーンは新しいものしか装着できない。当初、新しいスロットルユニットにとりあえず古いスロットルツィストチューブギアをつけてみた。 このスロットルユニットの場合、フロントブレーキケーブルのアジャスター(別売)を付ける必要がある。ところがこれを付けると既存のケーブルがそのままでは通らないので、ちょっと工夫が必要だった。アジャスターセットの割りの入った円筒形のフェルトは何処に使うものだろう? このスロットルユニットならHELLAタイプのオタマジャクシ型スイッチが安価なアタッチメント(裏が平板の32 72 1230878)で取り付け可能。 バーエンドウインカーは古いHELLA製純正らしく、19 mmのハンドルバーに押し込むタイプだ。ハンドルの内側に入る筒に4本の割りが入れてあり、ネジを締めるとテーパーの付いた臼状の金属が筒の4分割された裾を押し広げることで固定される。ちょっと前まで一般的だった自転車のスレッドステムの固定方法と似ている。ところが、この筒の4分割された裾のうち2個が割れて無くなっており、しっかり固定できない。金属疲労に弱いアルミでこの構造はちょっと辛い気がする。 ああでもない、こうでもないと考えたが、結局新品のバーエンドウインカーを1個入手することになった。1個で諭吉(これからは栄一)1枚程する。中〇モータースさんに在庫があり、2日で届いた。リプロかと思いきやHELLA製のオリジナルが届いた。ケチケチレストア屋としてはネットオークションで見かけるリプロ品(半額程度)を買って金属の筐体だけ使っても良かったかも知れない。 バーエンドウインカーの固定で試行錯誤しているうちに中の電球(マクラ型6 V 18 W)を割ってしまった(😢)。この辺りを電球のままにしておくか、LEDに換えるか悩む。6 V用のLEDを買った後で12 V化したら無駄になるし、ウジウジ考えてとりあえず白熱電球を購入。12 V化の可否は6 Vでの走行を確認してからにする。高いし。リレーは新しいものに換装されているよ...