静電型(コンデンサ型)ヘッドホン専用アンプ 30
少しずつ改変。
プラス・マイナスのB電源は定電圧電源のおかげて安定している。しかし、100 Vや33 Vのツェナー・ダイオードがあまりに温度に左右されるので5.1 V 200 mWの表面実装型(UDZV5.1B)をユニバーサル基板の上で20本直列にして約101 Vを、26本直列で約133 Vを得た。老眼なのにルーペで確認しながらの手半田は今後たびたびはやりたくないが、おかげで温度変化に対してかなり安定になった。UDZV5.1Bを1個どっかに落としてしまい、まだ見つかっていない。
電源電圧が安定しているにもかかわらず、アンプ部のシャーシの温度が上がるにつれ出力端にでる直流電位が上がる。何かが温度センサーになっているらしい。温度が上がった状態で調整して良しとしているが、季節によって変化するかも。現状では、十分に暖まった後は出力端子で±2Vに収まっている。温度センサーとなっているのは出力段の共通カソードのセメント抵抗あたりだろうか?しばらくは様子見だが、夏場に出力端の直流電位が大きく変化するようなら、セメント抵抗にダイオードをいくつか直列に入れて温度補償してみるか?もちろん抵抗値は調節するとして。直流帰還やサーボを導入するほどではない。
入力部分に直流カットにフィルム・キャパシタ(10 µF 50 V)と不要な高周波をカットするべくスチロール・キャパシタ(200 pF 500 V)を付けてみた。フィルム・キャパシタは以前買い置きしたWIMAのMKS2タイプで、以前偽物騒ぎがあったので、本物かどうかは分からない。スチロール・キャパシタの前にエナメル線でも巻いてµHレベルのコイルを入れようかと思ったが、今回はパス。この入力部分はユニバーサル基板に組んでメッキ線の空中配線でキヤノン・レセプタクルに結線した。あとで固定方法を考えるつもり。
100 kΩの2パラ・3シリで作っていた150 kΩも3 W型の単体に換えた。B電源電圧の変更にも関わらずヘッドホンのバイアス電源用の分割抵抗がそのままだったので修正。3端子レギュレータのピンの書き間違いとか入力のキヤノン・レセプタクルの端子の間違い等々恥ずかしいミスも修正。まあ、そのままマネする人は居ないだろうから実害はあるまいが...
ただ、今回の回路は6463よりもGT管の6SN7GTBあたりの方が合っているかも。6SN7系はバランスのとれた真空管という印象。µもそこそこ、Gmが高くはないから発振の危険性も低く、管内のふたつのユニットも割と揃っていることが多い。もちろん同特性を持つ後継のMT管である6FQ7や6CG7も使いやすいが、6SN7の中でも後発の6SN7GTAや6SN7GTBであればプレート電圧も高く(450 V)設定できる。プレート最大消費電力は1ユニットあたり5 Wで、2ユニット同時でも計7.5 Wまで許容されているので、オリジナルの6SN7や6SN7GTに比べデータシート上はタフだといえる。6SN7や6SN7GTはピンチステムで、6SN7GTAや6SN7GTBはボタンステムと構造も変更されている。まあ、メーカーのポリシーや国による考え方で、データシートに載っているのは内輪の数字だったり、ぎりぎりの最大定格だったりするようだ。
なお、マニアがありがたがる5692は浅野勇氏絶賛の高信頼管だが、データシートではプレート耐圧やHK耐圧は低い。これは高信頼管で長時間の使用を保証するために内輪の数字が記載されているのかも知れないが、実際にHK耐圧が低いとSRPPでは怖くて使えない。6SN7WGTや6SN7WGTAは高い耐振性が保証されたヴァリアントだが、プレート耐圧は6SN7GTAや6SN7GTB程高くはない。
問題は手元に6SN7GTBが1本しかないことだろう。6SN7なんて子供のころは当たり前すぎるというか古臭いGT管で、入手しようなんて思っていなかった。両ユニットの間にシールドの入った6CG7の方が魅力的だった。今となっては管壁温度の低いGT管の方が長期の使用では信頼できる気がする。入手するなら国産のが欲しいが、NOSともなるとそれなりの価格だし、外れの個体もあるだろうからアンプに4本使うとしても10本くらいはストックが必要で、当面無理だろう。ただ、まともな6SN7GTBが入手出来た場合、ユニバーサル基板に組んだ回路の方は一部の部品の変更で使えると思う。
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