Acoustat 3

Acoustat(アコースタット、アクースタット)のジャンクをゲット!した。仕事場でこっそり?聴こうという魂胆だ。

古いAcoustatのスピーカーは静電型スピーカーの中で壊れ難いという信頼感はあるが、決してハイスペックを狙ったものとはいい難い。静電型の高分解能で透明度の高い音を追及する人向きではないかも。というのも振動膜は厚さ0.65ミルつまり16.5 µmのデュポンのマイラー・フィルム(ポリエステル・フィルム HS65)で、QUAD ESL57の中高音域用マイラー6 µm/低音域サラン12 µm、Martin Logan CLSの12 µm、QUAD ESL 63の3 µm、STAXのELS-F83Xの6 µm等に比べかなり分厚い。また、コーティングも分厚い気がする。寝起きは良いので導電度も高い(抵抗値が低い)かも知れない。diyAudio上のgolfnut氏の書込みによれば、高音の遮断数は数は97 kHz/膜厚(µm)で計算できるらしい。(bolserst 氏の式では93.4 kHz/膜厚(µm))。となると、Acoustatの場合はコーティングの厚みを無視すると約5.9 kHz(あるいは約5.7 kHz)となる。つまり可聴域の中で最高音域は苦手らしい。その分丈夫なのだろう。8インチ幅のパネルが壊れたら、買い置きの4 µmのマイラーとSR5で好結果を示した静電気除去スプレーで貼り直してみたいものである。コーティングへの高圧バイアスの接続に一工夫要るだろうなあ(この段落は後から追加 2021.01.11)。

ゲットしたとは云うものの完全なジャンク、というより解体されており、もはやパーツである。発音ユニットが裸の状態で、フレーム、台座やネジはない。発音ユニットは幅8インチ(20 ㎝)のが2枚、9インチ(23 ㎝)のが4枚、それとMK-121-2Aインターフェィス・モジュール(高圧バイアス用の電源と昇圧トランス等が入った黒い筐体でAcoustat社ではインターフェイスと称した)が2台である。発音ユニットの後ろについていた筈のフェルトのダンパーも無い。いや、ポジティブに考えよう。フレームやネジ以外の音出しに必要なパーツは揃っている。おまけに台座に貼ってあるロゴ・バッジはふたつともある。譲って頂いた方に感謝。

発音ユニットの数から考えるとModel Three (3)で、使われているパーツから1982年生まれと推測出来るので、1980年初頭に発表されたSlim LineシリーズのModel 3のものらしい。Spectraシリーズより前のAcoustatでは発音ユニットの数でModel 1、2、3、1+1、2+2、6、或いは8 と呼称していた。同じModel 3でも異なるフレームのバリエーションがあり、しかも悪いことにスピーカー・システムとしてのモデル名が何処にも明記されていない。インターフェイスにはインターフェイスの型番が記載されていて、これをスピーカー・システム名と混同する混乱が生じている。

この辺りはSTAXのESS-4Aと称するスピーカーでも、発音ユニットの取り付け位置は色々であることに一寸似ているかも。

米国では残存するAcoustatスピーカーの多くは部品の交換等によって改造されておりモデルや年代を推定し難いそうだが、これの場合、少なくともインターフェイスはオリジナルの状態のようだ。また、バイアスケーブルの色が褪せていて断言はできないが、発音ユニットは旧タイプのコーティング剤が塗られたフィルムが使われたものであろう(旧タイプのバイアス・ケーブルは白か赤、改良型は黄色に赤いストライプらしい)。

発音ユニットやコード類には煤汚れがあり触ると手が黒くなる。コードはベタベタしている。発音ユニットのプラスチックのルーバーには小さな欠けもチラホラある。おいおいきれいにしよう。ジャンク解体品だから音が出なくても文句は言えないのだが、兎に角直ぐに聴いてみたいのが本心である。発音ユニットをゆすると溜まったゴミがパラパラと音をたてる。恐らく長年倉庫か蔵にでも仕舞われていたのだろう。ゆすってから掃除機をかける。煤汚れはイソプロピルアルコール(2-プロパノール)である程度落ちるようだ。

MK-121-2Aは外側に出ているボルトの頭はさびているが、内部はゴミひとつなくきれい。年数から考えて経年劣化していると覚しき220 µFの電解コンデンサーを先ず排除したくなる。どうせC-mod(後述)で取り外すつもりなのだが。

古い静電型スピーカーを手に入れたら、まず高圧直流バイアスを作り出す整流回路のコッククロフト・ウォルトン整流回路のダイオードとコンデンサーを新品と取り換えよ、というのが鉄則だ。元々取り付けられていたダイオードは25G10というもので、定格が10 kV 25 mAという高耐圧小電流のレアもの。逆耐圧10 kVとはどう考えてもオーバースペックだが、メーカー側にしてみれば単に部品の調達の問題で、規格を満たし、かつ安価であったのだろう。どうせ電流はほとんど流れないのだし。電源トランスの2次側が750 Vらしいので750 V×2√2約2.2 kV以上の逆耐圧の整流用ダイオードなら何でも良さそうである。おなじみの1N4007なら2本シリーズでは一寸心配で3本シリーズとなる。どういう訳か?手元にあったVishayのGP02-40-E3/54 (4 kV 250 mA)に交換。

コンデンサーは3,300 pF 3 kVセラミック・コンデンサーが付いていた。これまたどういう訳か?手元にあったのが0.01 µF 3 kVで、まあ、多少容量が大きいが大丈夫だろうと換装。取り外したセラミックコンデンサーにはクラックの入ったものが2個あったので換装して正解だろう。40歳近いのだから(2020.10.07)

とりあえず裸のままで音出し。おっ、ちゃんと出る。QUAD57改に似て緻密だがもっとダイナミックで重心が低い。滅茶私好みである。低音が一寸ダブつくかな?というところは後ろのダンパーが取り外されているからだろう。能率も懸念したほど低くはないようだ。

発音ユニットの後ろのダンパーは手芸屋さんか百均で厚手のキルト芯か何かを探してみようか。或いは、前から気になっている東京防音株式会社のホワイトキューオンの7 mmか10 mmを試す良い機会かもしれない。海外ではガムテープ(ダクトテープ)で済ませている例もあるが。。。

MK-121-2Aは後の姉妹モデル(MK-121C)で採用された回路への変更であるC-modを施すとしよう(https://www.diyaudio.com/forums/planars-and-exotics/252682-acoustat-mk-121-upgrades.html)。示されている配線図は以下の通り。


ただし、この図だけを見ると16 Ωのレオスタットを絞り切ったときにアンプの負荷が大容量のコンデンサになってしまうように解釈できるため、インターネット上でも疑義を呈した方が複数おられる。おかしい、危ない、間違っている、と。そもそもこの改変の元になったMK-121Cでは巨大(50 W 16 Ω)なスライド調整型の半固定ホーロー抵抗が用いられており、インターフェイスにはレオスタットのダイヤル等無い。しかも、その半固定抵抗は16 Ωのうち3オームの領域だけがアジャスタブルとなっているが、回路図にはそこまで反映されていないだけだ。従って、MK-121Cでは絞りたくても物理的に絞りきれないし、インターフェースの筐体を開けない限り調整できない。MK-121Cではレア・ショート等絶縁トラブルに強いMedallionトランスの導入という点でもそれまでのMK-121とは異なっていたのだが、C-modの回路そのものは従来のトランスであろうが新しいMedallionトランスであろうが適用可能である。巻線比は新旧で変更はされて無いらしい。


MK-121-2AにこのC-modを適応する場合には、この部分は上図のように既存の6 Ωのレオスタットに10 Ωの抵抗を直列にして使う、或いは3 Ωのレオスタットと13 Ωの抵抗を直列にする、或いは、自分の求める特性の抵抗値で合計16 Ωになるようにする、等の方法が示唆されている。

図の下部にはAJSと署名があり、この図がAcoustatの元エンジニア兼ジェネラル・マネージャーのAndy Szabo 氏の手によるものと推測できる。

さて、この変更は高音用トランスに入る信号の低音域をカットする周波数を高くして鉄心の飽和を避けるもの。同時に高音域用のトランスの一次側にシャントする形で計16 Ωの抵抗をパラに入れる(部分的にアンプの内部抵抗もパラに入る)ことになるので、トランスの高音域特性にも良い効果があったのかも知れない。計16 Ωの抵抗というは、今回は元から付いているごつい6 Ωの回転型電力用可変抵抗器(レオスタット、多分50 W 型 Power Rheostat OHMITE Model J-031)と10 Ωをシリーズに繋ぐという最も簡便で安上がりな方法を採ることにした。

このC-mod用に、出来るだけ安いフィルム・コンデンサー47 µF(耐圧は100 V、いや50 Vでも十分の筈)を2本と30 Ω 10 Wのセメント抵抗かホーロー抵抗を6本(3本ずつパラにして10 Ω 30 Wとして使う)とを秋葉原で探すとするか。10 Ωの抵抗はできれば50W位にしたいが、私の場合そこまで必要ないだろうと思う。暫く使ってみてチンチンに焼けて煙が出るようなら交換だ。

一方、音に拘れば47 µFは是非フィルム・コンデンサーにしておきたい。しかし、ブランド物のオーディオ用フィルム・コンデンサーだと無用にデカいし馬鹿高い。フランスのSolen(4千円弱/個)とかドイツのMundorf(7千円弱)とかとかデンマークのJantzen(2千円~5千円超)とか、評判は聞いているが全く手が出ない。左右で2個要るわけで、ブランド品のフィルム・コンデンサーは私には論外。スピーカー用のバイポーラー電解コンデンサーでも多分全く問題ないのだろうが、気分的にはフィルムが良いなあ。電解コンデンサーなら数百円だし、それでも多分我が駄耳ではおそらく差違を聴き分けられ無いだろう。最近の電解コンデンサーは諸特性も格段に改良されている。ただ、経年変化についてはフィルム・コンデンサーに分がある。40年前の220 µF 50 Vのバイポーラ―電解コンデンサーにはそろそろ引退してもらって、その機会を捉えてC-modを、と考えた次第である。

矢張り出費を考えるとアジア製が良いかな?中国製のをネットで買うか?それとも、確か台湾製のユニコンMETとかいうのが秋葉原の三栄電波さんで比較的安くで売られていた筈。まだあるかしら。それでも47 µFは1本1,500円位だったような怪しげな記憶。耐圧の100 Vは多分直流での値。交流だと実効値で100/√2で70 V程度か。周波数が上がると耐圧は下るので10 kHzだと半分位だとして35 Vかな?私の利用法では十分だろう。

しばらく鳴らしていると鳴りっぷりもだんだん落ち着いてくる。片側が一寸音圧が低いかも。いやいやどうして良い鳴りっぷり。こんな低音モリモリの静電型は初めて。能率はそれまで繋いでいたダイヤトーンのDS-500より低く83 dB/W/m位だろうか?

インターフェイスには音声信号昇圧用のトランスが2個入って周波数帯域を分担している。高音域用は1:60、低音域用はタップ切替で1:167、1:200、1:250に切替えられ、夫々発音ユニット4台、3台、2台に対応している。トランスは昇圧比すなわち巻線比が大きくなればなる程性能(特に高い周波数で)を維持するのが難しくなる。比較的低い巻線比のトランスで高音域の特性を確保し、大きな巻線比のトランスで低音域で必要とされる高圧を得るのがAcoustatの作戦で、Sound LabのA-1等も同様の戦略だ。

各チャンネル発音ユニットが1枚だけのModel 1にはウーハー用出力端子の付いたMK-141が専用に用意され、3D型のサブウーハーが組合わされていたそうだ。また、Model 1+1は発音ユニット2枚が縦に並んたもので通常はMK-121型が組み合わされていたのだが、Model 1+1Sと称するシステムにはMK-141が装着されサブウーハーが組合わされていたらしい。MK-121型はモジュール型と言われたModel 2/M、3/Mにも組み合わされていたが、同じモジュール型でも最低音部にダイナミック型コーン・スピーカーが組み込まれたModel 2/MH、3/MHにはMK-131が組み合わされていたらしい。少なくともMK-131Bの写真にはサブウーハー用の端子がある。素のMK-131に関してはよく知らない。

ふたつのトランスで昇圧後イコライズしながらミックスし、低音域を高音域に比べ約9~12dB程上げている。高音域トランスの2次側には0.01 µF 6,000 Vというかなりの高圧耐性のフィルム(?)・コンデンサーが2本入っている。オイルかレジンか何かが充填されたものかも知れない。これはなかなか代替品が見つから無い。Acoustat社が専門メーカーに特注したものだったらしい。ここにASC(指月のアメリカ法人)の0.01 µF 6,000 V等を勧める人もいるようだが、ここは数百~千ボルト超の交流信号(ちゃんと計算してはいない。昇圧電圧そのものではなく、ふたつのトランスと抵抗が入ったうえでの差分の筈)が加わることを前提にすべきなのだ。e-Bayに時々出てくるASCのフィルム・コンデンサーX675シリーズには直流では耐圧6,000 Vのものどころか16,000 Vのもの迄揃っているのだが、交流耐圧はたかだか270 Vしかなく恐らく不適当である。すぐには壊れなくてもコロナ放電とか起こすかも。まあ、このコンデンサーは壊れていない限り替える必要はない。万一壊れたら?30 kV耐圧(DC)の超高電圧耐性のスチコンでしょう。マイカ・コンデンサーやマイカペーパー・コンデンサーも他の諸特性は抜群で良さげだけど誘電吸収が悪すぎる。マイカ・コンデンサーを使うなら直流電圧の掛かっているところでしょう。念のため、Tkのマークの入ったフィルム・コンデンサの0.01 µFで10,000 V(但し直流の耐圧)というバカでかいのをを入手してあるが、交流の耐圧は不明。本当にTk(東信工業)製かどうかも判らないのだ。

アンプをKENWOODのスモール・ビューティR-SA7から無骨なAudio of Oregon(Audionics)のCC-2改に換える。R-SA7はAB級動作で20 W/ch at 6 Ω、A級動作では5 W/ch at 6 Ωという慎ましやかなもので静電型スピーカーを駆動するには少々心もとない。CC-2改は久しぶりの現役復帰である。ほぼ同世代と推測されるAcoustatとAudio of Oregon CC-2改のアラフォー迷コンビ、大活躍である。

さて、フレームはどうするか?スピーカーの保護を考えると、枠だけでもあった方が良い。いつまでも段ボールや折りたたみ椅子に立て掛けておくわけにもいくまい。

もともとのModel 3であれば、8インチのパネルを真ん中に両側が9インチで、わずかな角度(9度)を付けて指向性を広げるように取り付けられていたらしい。米国のリッチなお宅で、広い部屋で多人数で鑑賞するためなら広いスイート・スポットが必要なのだが、狭い部屋でのいわゆるニア・フィールドで少人数での利用では3枚とも平面上に並べても良いと思う。その方が工作もうんと楽だし(此方が本音)。

帰宅途中で秋葉原に寄る。丁度店仕舞いの最中だった三栄電波さんに無理を言ってユニコン47 µF 100 Vを2個購入。台風接近の雨の中、頑張っているメイド服や猫耳のオネエサン達の間を縫って千石電商さんの地下へ降り、TAKMANの30 Ω 10 Wのセメント抵抗を6本(3パラで10 Ω 30 Wにする)を購入。(2010.10.09)

さっさとC-modに変更する。変更前(上)と変更後(下)。


購入したユニコンMETの 47 µF 100 Vは割と小型だ。(2010.10.09)

インターフェースの中は隙間があるので作業は楽であるが、大きめのワッテージの半田鏝が必要だ。セメント抵抗は底板近くにおいて、焼けたりしてもビニール被覆線等に影響を与えないような位置にしたつもり。固定という点では今ひとつだが、レオスタットへの配線に使われていた太いスズメッキ線を利用してリード線を半田付けしたので、簡単には動くまい。

これで高音域用のトランスの負担が減るかな。ユニコンMETの47 µF 100 Vは小型で、元から付いていた10 µF 250 Vよりわずかに小さいので新たにラグ板を設置する必要は無かった。リード線にエンパイヤ・チューブを被せて既存の10  µFと0.01 µFとパラに接続。レオスタットのつまみは感覚的に惑わされないように右に回すと最高音域が上昇する方向にしたが、反対で良ければ既存の結線を活かせて配線がもっと楽ではある。

欲を言えば、アンプからのコードを繋ぐポスト(端子)が、当時の米国の標準的な所謂ジョンソン端子なのでバナナプラグも使えて便利だが、現在の標準からすると少々シャビ―で太いコードを繋ぎ難いので、出来ればしっかり締められるトモカのSP-359辺りに交換したい。SP-359は安価で実用的なのだが、取り付けに当たって筐体の孔を少し大きくしなければならないので後日の検討に回そう。そのままでも困らないし。

MK-121Cでは16 Ωの内3 Ωがアジャスタブルだと云うことから類推して、つまみの位置は全開から1/4絞った辺り、高音域の信号系に1.5 Ω程が直列に入る辺りにして、早速聴いてみるが、ストック状態とほとんど変わりませんねえ。心持ち超高音域が持ち上がったかな?C-modはしなくても良かった?でも、電解コンデンサーを取り外したことで気分的には満足なのだ・・・(2020.10.13)

取り外した220 µFの電解コンデンサーの容量を測ってみると260〜270 µFで少なくとも容量抜けはしていない。一寸偏差が大きい気もするが、電解コンデンサーでは今でも±20%位の偏差は許容されている規格が多い。以前は-10+50%といった偏差のもっと大きな規格も。まあ、経年劣化として漏れ電流の増加とかESRの増加はあるかも。尤も取り外したコンデンサーの健康診断を今するつもりはない。ジャンク箱へ。再度使う機会があるかも知れない?から。

diyAudio を読み返していると、bolserst 氏がストックのMK-121とC-modとでレオスタットの位置を変えて(直列に入る抵抗の値を変えて)周波数特性曲線がどう変化するかを示している。これを見ると2.5 Ω位の直列抵抗の辺りにフラットネスという意味では最良点があるように読める。勿論、Andy Szabo氏が述べているように、「正しい位置」等なく、聞いて(或いは測定して)一番良いと思う所に決めるべきなんだろう。仮に2.5~3 Ωが良いとすると12~13時位の位置だろうか。ならば今の位置、乃ち1.5 Ωでは10 kHzより上が過剰に盛り上がっている可能性があるかな。一寸超高音域が気になったのはそれを感知できたのか?いや、私の駄耳はそんな周波数は聞こえないよな?まあ、測定してみるしかないな。

ゲットしたときには欠品していた背面フェルト(オリジナルは羊毛+ウサギの毛?で厚さ5/16インチ≒8 mm)のダンパーは低音域で機能するらしい。おそらくは共振のQを下げる効果があるのだろう。共振域で振動膜の過大な振幅を抑えてステータとの接触を防ぐことになる。

低音がモリモリ出ているのが好きな人はどうも米国人等に多いらしく、敢えて剥がし聴いているマニアもいる。ダクトテープ(ガムテープ)で良いという強者もおり、インターネット検索すれば画像を見る事ができる。これはMartin Logan CLS IIで透明なパッチが後ろのステータの内側に貼ってあるのと同じ考え方だろう。

しかし、ESL57改で低音の共振に悩まされた私としてはダンパーはあった方が良い。40年前と同じフェルトであるの必要はあるまい。

以前から一度使ってみたかった東京防音株式会社のホワイトキューオン(再生ポリエステル製、密度100 kg/m3、PET容器のリサイクルとか)の300 ㎜×300 ㎜(ESW-10-303)を4枚入手して105 ㎜×300 ㎜、60 ㎜×300 ㎜、40 ㎜×300 ㎜に切って貼り付けてみた。切り出す際に一寸計算違いをしたので60 ㎜×300 ㎜の最後の1枚は一寸カッコ悪いが30 ㎜×300 ㎜を2枚並べた。ホワイトキューオンにスプレー糊をふって簡単に装着出来る。

元々のフェルトの寸法はインターネット上の写真と発音ユニットにわずかに残る糊の痕跡等を参考にして推測したので正確ではないが、まあ凡そこんなものだろう。フェルトの厚さに比べるとホワイトキューオンは一寸分厚いが、問題があれば取り外せばいい。

聴いてみると、低音のボアンボアンが心持ち減ったような減ってないような。。。低音の品が良くなったような気はする。プラシーボかな。暫く聞いていると、確かに低音域が大人しいというか、慎ましやかになっている。悪く言えば、少々音が痩せて引っ込んだ。

次に手を付けるのはフレームですかね?椅子や段ボールに立てかけたままには出来ないので取り敢えず自立出来ればと思う(2020.10.14)。(字句修正・追加 2021.01.09、2021.01.10、2021.01.11)


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