静電型(コンデンサ型)ヘッドホン専用アンプ 23
アンプを点けっぱなしにしてふと見たら終段の上側の球のカソードが光っていない。勿論音も出ない。
これは電源だ。あり合わせの部品で組み上げた電源で、球数の少ないアンプ用に組んで使いまわししている。したがって、今回球数が増えたことによって増加したヒーター電源の容量は前から心配の種だった。ちっちゃなヒートシンクを挟んでシャーシに直付かしていたのだが、3端子レギュレータに1.2 Aは無理だったようだ。この部分の3端子が死ぬのは実は2回目。
同じ回路ではもたないので3端子は諦めて、12 Vを整流して5 mH 4 Aのカットコア・チョークと1000 µFで安直なリプル・フィルタ。キャパシタがもう少し大きいといいのだが。それにしてもこのチョーク、いつ入手したんだっけ?
ヒーター電源は2つともリニューアルした方が良さそうだ。より大容量のシリーズ・レギュレータにするか、スイッチングのDC-DCコンバータにするか。前者は効率が低く発熱が大きく、一方、後者は高効率だが高い周波数でのノイズをコントロールしないといけない。
前者なら大きなヒートシンクが必要になるので省エネ社会には逆行するが、回路的には慣れている。LM338や350はうちのジャンク箱には入っていなかったように思う。さてどううしよう?PNPパワートランジスタで電流ブーストという手もあるな。ついでに、ヒーター回路が立ち上がってからプラスマイナスの電源が立ち上がるようにディレータイマーも付けたい。現状ごくわずかの時間だが、起動時にヒーター-カソード耐圧を超える電圧がかかっているので。部品調達をしたくても残念ながら帰宅途中に秋葉原に寄るような余裕がない。
さて、今更なのだが、カソードフォロワのバイアス回路にツェナーダイオードを使った固定バイアスする必要は無かったかも知れないことに気が付いた。マイナス電源が終段の動作の基準なのだから、カソードフォロワ段のバイアスもマイナス電源を規準にすれば良かったのだ。
カソードフォロワを自己バイアス型にすれば定電流に近い回路となる。Rkが4 kΩ弱とすると12AX7Aのμがおよそ100なので400 kΩ弱の真空管抵抗と考えらえるので、マイナス電源の絶対値が多少変わってもカソードフォロワのカソード電位はマイナス電源から見ると殆ど一定となる。自己バイアスだと固定バイアスよりも入力インピーダンスが高くできるので、帯域(特に低域)は広がるととに初段は楽になる。段間キャパシタを小さくしても良いかも知れない。
次に試作するときには試しても良い。今はツェナーダイオード方式をちゃんと評価しなくては。まずAC電源を95 V〜106 Vでふってみて出力端子の電位がどうなるか?ついでに温度に対する安定性を見るためにツェナーダイオードをヘアドライヤーで炙ってみるか?いっそ5.1 Vのツェナーダイオード14 本直列とか。しかし、その場合はツェナーダイオードにもっと電流を流さないと良好な定電圧特性が得られまい。真空管アンプのシャーシ内部は一旦温度が上がれば一定温度に保たれ、一気に何十度も変化はしないから問題ないと思う。
ヒーター電源や遅延タイマーなど電源部の改善はおいおい手を付けるとして、アンプ部は現状割と満足している。そつがないというか大人しめの音という印象で艶っぽさというか派手さはない。矩形波に小さなオーバーシュートが見えていた時の方が魅力的だったような気もする。音像が頭の周りにポンポン定位していたのが、ごく普通に戻った気がする。あれは何だったんだろう?
2023.02.08 改稿
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