静電型(コンデンサ型)ヘッドホン専用アンプ 5
SR-5改の調子が極端に悪くなってきた。まず能率の低下。特に右側。筐体の中の振動膜Assyを左右入れ替えると能率も入れ替わるので振動膜Assyに問題がある。しかも反対側も決して能率が高いわけではない。静電気除去スプレーSB-8を振りかけても、直後は回復するがすぐ低下してしまう。しかも低音域を中心に歪がある。まるでバイアス電圧が急激に低下したような症状だ。やはりノーマルバイアス(230 V)用にスペーサをかませてプロバイアス(580 V)にするのは無理があるのかも知れない。まあ、STAXの人が聞いたら怒るだろうが、ここは自己責任の趣味の実験なのでご寛恕いただきたい処。
振動膜Assyは振動膜を二枚の金属(多分アルミ)板(0.5 mm厚)で挟んだ構造である。コーティング処理の後、振動膜への電荷の供給がだんだん止まるとすると金属部分と膜との境目に問題がありそうだ。振動膜を挟んでいる筐体の絶縁も疑ったが、両側の電極とバイアス電極の間の絶縁は10^10 Ω以上で多分大丈夫。そこで2枚のアルミ板の間の抵抗値を計ると、能率の低い方は数十 kΩと高い。能率の高い方はほぼ0 Ω。そこで能率の低い方の2枚のアルミ板の境目に鉛筆を擦り付けると抵抗値は下がるものの安定しないので、膜のコーティングを行ってから両面を導電性アルミテープで繋いでみた。
コーティング剤には不安定なSB-8を諦めて、海外で静電型スピーカのコーティングとして評判の高いLicron Crystalスプレーをたっぷり振りかけた。こいつは乾燥に時間が掛かるのでベランダの洗濯物ハンガーにぶら下げて乾燥させた。振動膜はいろんなスプレーをかけたり、イソプロピルアルコールで洗ったりとひどい扱いを受けて随分へたってきた感じだ。Licron Crystalをスプレーしたら均等に広がらずぽつぽつと濃淡模様が出来てしまったが、気にしないことにした。膜をじっくり見てて思ったのだが、張力がへってきたようだ。傷もある。乾燥を確実にすることと同時に張力が上がることを期待してへアドイヤでしっかり加熱してみた。
組み立てていたら、プラ板で作ったスペーサが1枚どっかに飛んで行ったので、慌てて作り直した。組み立ててからアンプMK-14に繋いで聴いてみると、えらく能率が向上したし低音域の歪の減少した。まだ、ドラムス等のパルシヴな入力や大きな音のところで時々歪むが、しばらくはこれで行こう。
能率が良くなったのは良いのだが、能率が上がった所為かハムが聞こえる。MK-14の電源関係を見直さねばならない。+320 V、0 V、-384 Vの電源を+704 Vと0 Vの電源に直して、それに応じて回路定数も練り直すのが良さそうだ。そうすれば、12AU6のグリッドを-384 Vでは無く直接アースに落とすことが出来るし、入力のキャパシタも不要になる。ブリッジ型のコッククラフト・ウォルトン回路で作っている高圧バイアスも704 VのB電源を分割すれば不要になる。アンプ側と電源部側についてそれぞれしっかりと回路図を書いて準備しよう。間違って中途半端に接続変更すると電圧が高いだけにトンデモないことになるので。
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