静電型(コンデンサ型)ヘッドホン専用アンプ 3
帰宅したら息子が来ていた。娘とゲームするらしい。
夕食後のわずかな時間を利用してスクリーン・グリッド回路をシンプルにする。同時に、プレート間に入れた抵抗の 値を変えてゲインをもう少し下げ、使われなくなった可変抵抗を真ん中に挿入してACバランスを調整できるようにした。これはなかなか便利。左右のゲイン差はほとんど感じないのでチャンネル毎のゲインの微調整回路は今回は取り入れていない。
スクリーン・グリッドの電源はアンプ部と電源部の基準となる0 Vの線から取っても良く、当初はそうしていたが、アンプ部と電源部のアースを繋ぐコードにはなるべく電流を流したくないので、+320 Vと-384 Vの間でブリーダー電流を少し流して抵抗で分割して得ている。+320 Vにはサーマル・リレー管を入れているので真空管が温まる前にスクリーン・グリッドに高い電圧が掛かることは無いだろう。仮に12AU6がヒートアップしていなくてもパスコンの耐圧は超えない。入れてあるのは50年物のニッケミだが。
抵抗類は2パラ、3パラ、シリーズ、取り乱れてジャンク総動員で適当な値を作っているし、シャーシは狭いし、空中配線だし。。。バラック組みはそろそろ限界なので本当は大きめのシャーシに作り直したい気分。
12AU6のプレートから上側の6463のグリッドに繋がるフィルム・キャパシタの容量が大きすぎるので此処の時定数が大きく、したがって半固定抵抗を一寸弄っても電圧が変化し落ち着くのに時間がかかる。このキャパシタは1/10程度の容量に換えるべきだろう。ジャンク部品に依存しているとこうなる。
入力部はピンジャックと12AU6のコントロール・グリッドの間に400 V近い電位差があるので1000 V耐圧のフィルム・キャパシタを入れてある。
スクリーン・グリッドはカソード側定電流回路の効果を補足したくて二本の12AU6を繋いで抵抗で給電しているが、150 Vは少し高すぎるかも知れない。130 V程度を試してみたい。
調整の順番は、まず12AU6のプレート抵抗両端の電位差(試作機ではプレート電流6 mAで120 Vに設定、つまりこの抵抗値は20 kΩ)を見ながら全ての12AU6のプレート電流を6 mAに合わせる。次に6463のバイアスを加減する半固定抵抗で12AU6のプレート電圧をおよそ250 Vに調整する。ここで6463のカソード電位がアース電位(0 V)に対して±5 V程度に納まっていること確認する。電源の電圧によってこのバランスは変わるので、プレート電流の設定、プレート抵抗値を工夫する必要がある。
さて、これでゲインは 1 kHzで 55.4 dB。左右差は0.1 dB以下。気になる高音域の周波数特性だが、10 kHzで 左-0.3 dB、右-0.46 dB、20 kHzで左-1.3 dB、右-1.39 dB。-3dBになるのは左が35 kHz、右が33.5 kHzで、私にとって大きな問題は無い。
ときどきカサコソという音が聞こえる。真空管、特にカソードからのフリッカ・ノイズかも知れない。あるいは単に真空管ソケットの接触不良かも知れない。今のところ、アンプの所為なのかそれとも無理やりギャップを広げてプロバイアス仕様にしたSR-5改の所為なのかはまだ不明。冷静に考えればSR-5改との接続は直結ではなく直流を切った方が良いかも知れない。ただ、フィルム・キャパシタを突っ込むスペースがもう無い。大きなシャーシで組みなおす元気も暫く出そうにない。カサコソ音はどうもプロバイアス側だけでノーマルバイアス側では出ていない。高圧バイアス回路の不具合かも知れない。いずれにしろ今後の課題である。まともなプロバイアスのSTAXのヘッドホン(イヤースピーカ)とかがあればどうなるか、試したいものだが、周りに持っている知人は居ない。
肝心の音は、今一私の好みではなく、大げさに言えば一寸ドンシャリ的かも。歪が多いのか、高い周波数で発振や不安定があるのか、重いオシロを引っ張り出すのが億劫で、取り敢えずそのまま聴いている。聞きたくなくなるようなものではない。また、MK-13改の50CA10プッシュプルのプレートから取り出して聴いていた時よりも明らかに大きな音量で聴いていることに気付いた。一寸音量を上げてもうるさく感じていないのかもしれない。
YouTubeで公開されているダミーヘッドによるバイノーラル録音などを聴くと臨場感もあって楽しくなる。
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