SR-5 driven by 50CA10 (4)
お預かり物のQUAD 405-2に随分手こずっていたのだが何とか片付いたので、SR5の環境を整えることにしよう。
MK13とSDR-1モドキの組み合わせの音はなかなか心地よいのだが、凡そ58dBという利得(増幅度、ゲイン)は少々大きいというか、もう少し低い方が使い易そうだ。6dB位下げたい。ゲッターが減って少々くたびれてきた50CA10であるが、もう少し頑張って貰おう。
まずは入力トランスを外す。そうすると12dB程ゲインが低下してしまうので、初段の12AY7を12AX7A(ECC83)に戻すと丁度良さそうなので早速手を入れる。12AX7Aはプレートの直流負荷抵抗を180 kΩ(1本当り)とし、差動の定電流回路の抵抗値(620 Ω→1 kΩ+220 Ωを直列)を変更し、2 mA強(2本分で)に設定するとプレート電圧が205 V程度になった。双三極管のユニット間のばらつきはほとんどない。12AY7から12AX7A(松下)への変更で凡そ6dB上昇し、初段のカソード間の半固定抵抗を調整して左右のゲインを揃えた。12AX7Aは内部抵抗が高いので次段の入力容量によってはミラー効果による高音域の減衰が起こるが本機では次段はカソードフォロワなので問題ない。1 kHzでのゲインは凡そ53.2 dB(約460倍)になった。入力はキャノン・タイプのXLRレセプタクルでバランス入力にも対応しているが、初段が差動なので、XLRプラグの中で片側を接地すればアンバランス入力でも問題ない。もし、接続するプリアンプが(トランス出力等で)600 Ωの終端抵抗を必要とする場合には、XLRプラグの中に仕込めば宜い。
周波数特性を左右していた入力トランスが無くなったため、周波数特性はぐんとワイドになり、100 Hzや10 kHzでのゲインの低下は1 kHzに比して0.1 dB程度となった。試聴してみると周波数特性が上と下に伸びたことが実感できるが、逆に今まで入力トランスが帯域を上手に制限して音楽をまろやかにというか聴き易くしていたことも良く分かった。入力トランスがあるとソースのアラも隠れるということか?まあ、暫くはこれで聴いてみようが。ドラムスのアタック音等でSR5が、苦しそうな音を出すことが稀にある。トランスの有無だけでなく12AX7Aから12AY7への変更も関わっているかも知れない。駄耳での感想なので確証は無いのだが、12AX7Aって繊細というか幾分神経質な印象がある。あくまで先入観かも知れない。
リーダーの古いLAV-191 を使ってMK-13+SDR-1モドキ+SR5を20HzからスイープしてみるとSR5は50Hz以下の低音域は苦手かも。元々そうなのか、それとも振動膜の劣化とかあるのだろうか?低音はサブソニック・フィルタを使って10Hzあたりでスパッと切った方が良いのかも知れない。12AX7Aと12FQ7カソードフォロワの間の0.05 µFのマイカ・コンデンサを大量に余っている0.018 µFのフィルム・コンデンサに換えてみるか?
高音域はアンプの入力トランスが無くなった分スッキリ。10kHzの矩形波をオシロスコープで見ると無帰還アンプにしては上等である。数100kHz辺りに少しアバレがあるようだ。
オシロスコープでバランス型のアンプを観察するのは少々厄介だ。上の画像は、SRD-1モドキとSR5を繋いだ状態で上下の出力をオシロスコープのチャンネル1とチャンネル2に入力し、チャンネル2を逆相にして加算して観察したときの画像である(2021.01.03)。
コメント
コメントを投稿