Acoustat 3 (3)

さて、うちのAcoustat 3のスケルトン君だが、レオスタット(高音域の調整ボリウム)をどの位置にしておけばいいのだろうか。

インターフェイスの画面には控えめにHF BALANCEとある、このつまみである。内部に装着された巨大な(多分50 Wクラス)レオスタット(高音域の調整ボリウム)のつまみである。

diyAudioには感覚的な経験談もあるが科学的なシミュレーションや測定結果などの情報も多い。2020年4月2日にbolserst氏がオリジナルのMK-121とMK-121Cにおけるレオスタットについてシミュレーションを書き込んでいるので、引用させて頂きたい。下図の(a)はMK-121のオリジナル(もちろん改造前のMK-121-2Aもこれ)の、(b)はMK-121C乃至はC-mod済のもので、何方もあくまで電気回路のみのシミュレーションであり、発音ユニットの特性はを含まれていない。

発音ユニットがダイポール型で衝立(モノリス)状のため100 Hzから5 kHz位にかけては3dB/Oct.位のハイ上りになる。低音域と高音域に昇圧比の異なるトランスを用いてコンデンサーと抵抗のシンプルな回路で上手に補償(イコライズ)してフラットな周波数特性を得ている。bolserst氏によると、C-modの場合、2本の50 kΩ 50Wの抵抗を35 kΩに減ずるともっと良いそうだ。C-modを施す前の、素(オリジナルというかストックというか)のMK-121の電気的特性に近づけられるという意味だろう。

(a) MK-121オリジナルの場合

(b)MK-121C乃至はC-mod

(Bothe were originally posted by bolserst to the topic "Acoustat Answer Man is here" at the Forums > Loudspeakers > Planars & Exotics of diyAudio on April 2nd, 2020)

そこでうちのスケルトン君もレオスタットを左から凡そ7時(絞り切り)、9時、12時、13時、14時、15時、16時、17時(右に回し切り)で測定してみた(下図上から)。相変わらず測定系に問題があって50 Hzのハムを拾ってしまっているが無視しよう。bolserst氏に倣って直列に入る抵抗値を予測すると、ほぼ直線的なB型と仮定して、夫々約6 Ω、4.8 Ω、3 Ω、2.4 Ω、1.8 Ω、1.2 Ω、0.6 Ω、0 Ωとなろう。実際には両端近くでは抵抗値の変化が少ないのだろうが。


bolserst氏のシミュレーションと全体の傾向は大体同じような結果と思われる。Andy Szabo氏がいみじくも述べているように、「正しい位置」なんてなくリスナーが一番良いと思う所に決めるべきなんだろう。測定結果からレオスタットのつまみを今までの14時半よりももう少し右に回して16時の方向に定めた。聴感はほとんど変わらない。

なお、bolserst氏によると、C-modの場合、2本の50 kΩ 50Wの抵抗を35 kΩに減ずるともっと周波数特性のバランスが良いそうだ。50 kΩを、35 kΩでは無いのだが、25 kΩあるいは0 kΩに減じた時に周波数特性がどう変化するかシミュレートした結果を同じbolserst氏が公表している(下図)。

(Originally posted by bolserst to the topic "Open CLS II stators - the best way to do it?" at the Forums > Loudspeakers > Planars & Exotics of diyAudio on February 16th, 2014)

電気的には素のMK-121に近づくのかも知れない。しかし、発音ユニットの特性も含まれた測定結果を見る限り、敢えて50 kΩを35 kΩに変える必要は無いようにも思う。まあ、確かに100 Hz~2 kHzが僅かに上昇するとバランスが更に良くなるようにも見える。その分、100 Hz以下が相対的に薄くなるかも知れない。測定マイクの位置によっても結果は変わると思うが、現在の測定結果では600 Hz~1.5 kHzに僅かな盛り上がりが見られるので、50 kΩを35 kΩに変えるよりはトーンコントロールで600 Hz以下をちょいと持ち上げる程度が良さそうだ。いずれにしろ、現時点で50 kΩを35 kΩには変えず、角材か何かでフレームを作って、再度測定してから考えれば宜いと判断した。

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