SR-5 driven by 50CA10 (3)

SR-5の調子がだんだん良くなってきた。不思議なものである。左右差もほぼ解消した。頭に載せる金属(ステンレス?)部分が少し柔らかく、イヤ・パッドがへたっているため耳の密着度が今ひとつだが、まあ許せる範囲だ。高さ調節の金属棒のスライダーが緩くなっていて位置がすぐ下がってしまうのも許してしまおう。それぐらい自然に許せる心持になってきた。

振動膜のコーティングをやり直し、バイアス電源からの接触を確実にしてからは寝起きも随分良くなったようだ。MK-13の電源を入れてからバイアスがかかるのだが、すぐにそれなりの音が出るし、30分もすれば快調である。これなら、SRD7改も電源スイッチを元の状態に戻して、ちゃんとON-OFFできるようにして良いだろう(その方が安全だし)。もっともMK-13+SRD1モドキに慣れてしまってSRD7改に直ぐには戻れそうにないが。

ただ、TVからの信号に比べPCからの信号がボコボコと何か変なのである。迫力はあるがときどき歪っぽいし。efuさん作の偉大なるフリーソフトWaveGene等を使って調べてみるとやった覚えのないイコライジングがされているっぽい。

色々と調べて分かったのだが、うちのDELLのPCは隠れたイコライザが常時ONになっていた。プレインストールされているWavesのMaxxAudioが余計なことをしてくれている。これをOFFにするとすっきりした。簡単にはアンインストール出来そうに無いので管理者権限でコンポーネント・サービスを開き、このアプリを停止させ、自動では立ち上がらないように設定した。これで中島みゆきの「地上の星」の冒頭のドラムスで歪っぽくチリチリ言わなくなった。コウモリ耳の娘も悪くないとのこと。

MaxxAudioのようなアプリは通常のシステムでは便利な標準装備なのかもしれないが、40年以上前のSR-5の取説には、取扱の項目の2番目に「周波数特性がフラットなので、トーンコントロールで低音/高音を強調しないようご注意。」(太字は原文のまま)と態々書かれていた。全くその通りで、清々しい音になった。勿論、多くのユーザーのシステムで、特に小型のスピーカー等で迫力を出すのには有効な仕掛けだと思うが、簡単に外せるオプションにして欲しいものである。常駐されていると私にとっては逆に付加価値を下げているとしか言いようがない。だって、極端な話、peak-to-peakで固定電極間で最大100V程度の入力を受けているときに、特定の周波数で+10dBとか+12dBのイコライジングがなされていて、もしその周波数でピークの信号電圧であったならpeak-to-peakで300Vとか400Vとかになる訳で、アンプもSR-5も音をあげるだろう。まあ、この想定はちょっと極端で私の耳がまず壊れそうだが。

何となく変だなあと思いつつ長い間気が付かなかった我が駄耳が恥ずかしい。

ついでに言うと、再生装置がしっかりしていれば、そしてクラシックなどアコースティックな楽器構成の場合は、音源の録音の時もシンプルなマイク構成で(出来れば2本、1本のモノーラルでも宜い)イコライズせずが良いのじゃないかとひそかに思っている。そんなCDはないのだが。

そんなことしたら録音技師さんやミキサーさんの出番がなくなる?彼らは限られたリソースの中ですごいことをしているのだと思う。様々な装置で再生するユーザーのことを想定しているのだし。ただ、案外モニタースピーカーの癖に振り回されている部分もあるのかもとも思う。むかーし昔、コロンビアが出したほとんど最初のPCM録音を始めた頃のデモLPを入手して聴いたことがある。シンプルなマイク構成でクラシックの室内楽だったが、リアルでとても素晴らしかった。あまりにリアルでタイミングを合わせるためのバイオリニストの息(鼻息?)まで聞こえ、距離を取ったマイク設定でも良く録れるもののだと知った。

マイクが1本、乃ち、モノーラルでも良いと思った理由は簡単で、ヘッドホンで聞いていると非現実的に左右の音声信号が違うからだ。これも録音技術によるものだろうが、あまりに極端に違うと気色が悪い。少なくとも100Hz以下はモノーラルになっている方が安心感がある。

ステレオ放送が試験的に始まった頃はピンポン玉の弾む音が右に左に動く様子にただただ感激したものだが、もはやそういう時代ではないだろう。今から60年位(あるいはもっと前からかも)前に、AMラジオを2台使って聴くステレオ試験放送があったなあ。NHK第一と第二を使った立体放送を聴いた覚えがある。

ステレオであれば左右のスピーカーから出た音波が強め合い、打消し合いながら、周りで複雑な反射し、位相の縞模様を描きつつ両耳に届くことを前提に様々な音声信号が記録されている。それを左右別々にヘッドホンで聞いて自然な筈がない。ましてや今はステレオどころではない、5.1chとか7.1chとか、22.2chまであるそうな。ヘッドホンで前方定位にしてくれとはそれほど思わないが、できれば左右を適度にミックスして頂きたいものだ。ヘッドホンで「自然に」聞こえるようにステレオ音源を適度にミックスするコントロール・アンプを考えてみようかな?

さて、当時のStaxが取説に誇らしげに書いた通り周波数特性がフラットかどうかは一度測定してみようと思う。ただ、スピーカに比べヘッドホンの測定は測定部の設計で大きく変わるそうだ。フラットな吸音材にマイクを取り付けて片方のヘッドホンを密着させるような形でどうだろうか?

スピーカの測定に使っているエレクとレット・コンデンサ・マイクがそのまま使えそうだがヘッドホンとどうカップリングさせるかは一工夫が必要だろう。また、以前は普通の3.5mmプラグでPCに繋げば良かったのだが最近のPCは独立したマイク入力端子が無い。4極の3.5mmプラグでの接続となる。4極のプラグを入手するとしよう。

インターネットを泳いでいたら、SR-5を含む多数のヘッドホンの実測結果を掲載しているサイトを見つけた。

https://www.superbestaudiofriends.org/index.php?pages/MeasurementsIndex/

他のStax製品も測定されているが、古いSR-5も健闘している。SR-5ノーマルバイアスは膜厚2μmと記述されているが、国内で販売されたのは4μmだった筈。海外向けには2μmのもあったのかしら。いずれにしろなかなかの特性だ。

仕事場のDELLのPCも設定を覗いてみると、やっぱり此方でもMaxxAudio君が裏で頑張っている。道理でパネルだけのAcoustatの低音が矢鱈と武張っていたのだ。こちらも速攻でPCのサービスから探し出して停止させ、無効にしておく。これでスッキリ。それでもAcoustatは低音域がしっかり聞こえる。高音域もスッキリ。気築かれしない音になった。youtube で聴く音楽も悪くないじゃないか。

さて、そろそろSR-5弄りは中断して、とんでもないドツボにはまっているQUAD 405-2に戻らなければ!(2020/12/22)



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