Martin Logan 7

後ろ側のステータと前側のステータをもう一度シールはがしでVHBテープの糊の残りを除き、2-プロパノールで拭き、浴室用洗剤で洗い、水ですすいで乾燥させた。割ときれいになったと思う。

振動膜は縦方向に張力を与え、横方向はほとんど与えない。与えると山の鞍部(英語ではsaddle)のようにへこんでしまう。MLでは横方向のリブでステータと振動膜の距離dを保持しようとしている。下手に横方向に張力を与えると後ろのステータに近づき、さらにバイアス電圧を加えると近い側、つまり後ろ側に引き付けられる。下手をするとくっ付いてしまう。

また、MLのようなカーブした発音体ユニットの場合、後方へは振動膜が縮む方向で、前方へは伸びる方向のため、前後でスティフネスが異なっている。

これらの前後の非対称性を小さくするために、前後のスペーサの厚みを変えて、後ろ側を多少厚めにするという方法がしばしば有効らしい。

Sandars Roger R (1995) The Electrostatic Loudspeaker Design Cookbook (Audio Amateur Press Publishers, Peterborough, New Hamshere. ISBN 1-882580-00-1) pp.202.

本計画の場合、縦にスパーを入れる予定で、仮に均等に4本入れて縦に5本に分割した場合、全体の角度が35度程度とすると各々はおよそ7度。横方向に張力を加えてぴんと引っ張ると後ろ側のステータと0.25 mm位になってしまう。そうならないように横方向の張力は皺が寄らない程度のほんのわずかにして縦に引っ張り、円柱の一部分となる形を維持する。それでも、前後のスティフネスの違いはあるので、前方のスペーサが2 mmなら後ろ側は2.5 mm程度にするといった対策の可能性がある。

しかし、まだ問題がある。上下に引っ張られた長い膜は真ん中あたりがすぼんだ形になりやすい。砂時計(hourglass)状というらしい。

きれいになったパネルをじっと見ていて気が付いた。スムーズな弧面になっていない。上から見ると程度の差はあるが前後とも
こんな感じ。縦のスパーと呼んだスペーサが左右の低音域の振動膜を支えているのだが、ほぼ平面になっている。やってくれたな、MLさん!

低音域の振動膜の幅は左右で違えてある。これは共振周波数をずらすためだろう。。ここにはあまり大きなRは無く、ほぼ平板で、内側方向と外側方向で非対称ではないようだ。

元々の製品でこれらの部分が縦の張力だけで問題がなかったのであれば、Rのある部分を三分割して、必要に応じて横向きにリブを入れて長さも変えればよいだろう。ウ~~ム。リムを入れるのであれば、前後のスペーサ厚を変える作戦は取りやめてもいいかも。



もともとの低音域の振動膜の後ろ側のステータの内側には、これも低域の共振をダンピングのためらしい透明の膜が数か所に貼られていた。これは真似せず、必要に応じて後ろ側のステータの外側、つまりスピーカーの裏側に布類を張り付けることにする。少なくとも両サイドの見た目の透明感は失われるが。


スパーと周囲のスペーサーはPET板、PC板、アクリル板、テフロン板、ポリスチレン板など選択肢が多い。





参考)
Baxandall Peter J (1998) “Electrostatic Loudspeakers“ In Loudspeaker and Headphone Handbook (ed. John Borwick) (Oxford: Reed Educational and Professional Publishing Ltd) pg. 106–195.

Hatch, W T (2004) An Overview of Electrostatic Speakers  (Bibliographic information not available).





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