STAX SR-lambda nova signature
友人がもう使わないからとSR-Λ nova signatureを譲ってくれた。これは有難い。私にとっては初の本物のプロバイアス機だ。現行のラムダ・シリーズのご先祖様と言って良いだろう。 少々くたびれてはいる。発音体ユニットの背面の薄いスポンジは変形し、ずれている。友人の話では購入後ほとんど使わなかったとの事だが、私が受け取りやすいようにそう言ってくれたのだと思う。長期保存されていたのは確かだが、イヤパッドの感じからすると少なくとも一時期大切に常用されていたのではないかという気がする。STAXのプリアンプ部の付いたアダプター・アンプで使っていたらしいが、そちらは事情があって先に処分された由。 右側のアークの発音体とつながる部分が折れている。早速、3ミリのポリ螺子を適当な長さに切って瞬間接着剤で取り付けた。とりあえずはこれでOK。アークの造りは少々チャチィ気がする。この構造じゃあ余程丁寧に扱わないと折れるよね!という造りだ。SR-3、5、Xシリーズの少々無骨な金属製の方が耐久性は良いだろう。 まあ、口の悪い海外のサイトの中には、SR-Xの形状に対して大戦中の軍用ヘッドセットのような、と形容していたのもあったと記憶しているので、プラスチック製の柔らかなデザインの方が受けが良かったのかも知れない。また、プラスチック製の方がコスト的に有利だったのかも知れない。 取り敢えずノーマルバイアスで聴いてみる。聴き易い、というか心地いいサウンド。低音域は少し薄い気がする。ノーマルバイアスで比較する限りSR-X MK3の方が音圧が高く低音域も高音域も良く出ている。解像度ではSR-X MK3の勝ち。プロバイアスで駆動すれば違う結果が出るかも知れない。イージーリスニングではSR-Λ nova signatureが有利だし、耳全体をソフトに覆ってしまう着け心地は耳介を圧迫するSR-X MK3を凌駕する。縦長の鳥籠型STAXのヘッドホンが単にマニアにだけではなく広く受け入れられてきた理由はここら辺にあるのかも知れない。